第34話

文字数 194文字


 母はその日のうちに府内の評判良さげな産婦人科を調べ尽くし、

 その中から自分ひとりで足を運べる圏内のところに電話をかけまくった。

 最も早く予約がとれたのが、バスで十五分、電車で二駅の竹内産婦人科医院で、

 翌週火曜日の午前の診療だった。

 仕事場に着いてから、まっさきに火曜日の休暇を申し入れた。

 実家の法要だと偽って。

 まだ彼女に妊娠の可能性を家族以外の者に告知する逸(はや)りはなかった。
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