第13話

文字数 302文字

 しかしだ、(あなが)ちそれも悪くはない。

 何故だか不条理の営みのうちに段々と『痛み』が和らいでいる気がするのだ。

 遠い遠い痛みは僕を傷つけること甚だしかったが、輪廻のたびにその痛みが弱まっている。

 それはバッタであっても、きつねであっても、他の星の生物であっても、

 根本的な痛みは弱まっている。

 この星のいわゆる高等生物と彼らが云う生き物だと痛みはとても大きいが、

 バクテリアだと高等生物に比べそれほど痛みを感じない。

 比較をしていることが僕を慰めている。

 比較がない頃には痛みにただ耐えるだけだった。

 でも痛みが辛いほど、そのあとの痛みが和らぐのは何故か。

 何故とも知らぬが、僕は定められたとおり漂ってきた。
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