第44話

文字数 180文字


 重苦しいその声は僕に改めて生まれてこられる悦びを声なく伝えてくれる。

 僕は思った。

 できにくくて苦しんだ僕の母と、できてしまって苦しんだこの声たちの母と、

 その二つの苦しみは当世では何を分つのだろう。

 また来世では何が変わるのだろう。

 僕にはわかっている。

 だから僕はこうした声に祈りを捧げた。

 この因果がどうかこの声の主たちにも幸運をもたらしますようにと。
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