6月8日の迷宮(四)

文字数 2,196文字

◆◆◆茜&花蓮side◆◆◆


 ……背中が痛い。髪の毛を操る化け物に拘束され、花蓮と共に三回壁に叩き付けられた茜は、生まれて初めて加えられた暴力に低く呻いた。
 今は身体を拘束していた忌々しい髪の毛が消えていたが、走る痛みに身体を動かせず、ただ床に身体を横たえるしかなかった。

(今、状況はどうなってるの……?)

 瞳を動かして周囲を窺うと、すぐ側に花蓮も倒れていた。他のみんなは……? あの化け物は……?
 茜の眼前に、白い毛を生やした猿の大きな顔がヌッと現れた。

「ヒッ!?

 どうして猿が!? 考える間もなく一体の猿が茜の両腕を頭の上の方で押さえた。更にもう一体が茜の着るスポーツウェアへ手を掛け、怪力で一気に引き裂いた。

「きゃあぁぁぁぁぁぁ!!

 胸部のプロテクターであるチェストガードはもちろん、腕の防具すら外された。猿は茜が身に着ける全てのものを順番に剝ぎ取っていった。

(やめて! やめて!)

 自由な脚をバタつかせて抵抗を試みるも、開いた脚の間に猿が身体を滑り込ませ、逆に茜はピンチになってしまった。
 横目で見ると花蓮にも一体の猿が取り付き、彼女の衣服を無遠慮に引き裂いていた。意識が無いのか動かない花蓮はあっという間に全裸にされ、猿に股間を舐め回された。

(江崎、馬鹿、目を覚ましなさい! でないとアンタは……)

 茜にとって正に悪夢の光景だった。唾液で花蓮の恥部を湿らせた猿はニンマリと笑い、自身のそそり立つ肉棒を彼女の中へ挿入したのだった。
 花蓮の身体が激しく揺さぶられた。猿は強く腰を打ち付け、振動で花蓮の乳房が上下した。
 その悪夢のような光景を見て茜は理解した。自分もやがて同じ目に遭うのだと。

「嫌あぁぁぁ!! 誰か、誰か助けてえっ!」

 離れた位置に居る探索メンバーへ向けて声の限り叫んだ。しかしいつの間にか、髪の毛で編まれた網のようなもので部屋が仕切られており、仲間達は茜の側へ近寄れなくなっていた。

 クチュ。

 おぞましい感触がもたらされた。茜の股間に顔を埋めた猿がクチュクチュと、汚らわしい舌先で彼女の大切な部分を刺激していた。
 ここまでは手下だった芽亜理や早紀にやらせたことが有る。でもその先は未経験だった。

(嫌よ、嫌、嫌…………!)

 茜は処女である。いつか結婚相手を決める歳になった時に、できるだけ相手に高く売り込んでやろうと処女を守ってきた。誰にも体内奥への侵入は許さなかった。
 それがまさか、ケダモノ相手に喪失することになるなんて。

「あ……うん……、ああ……」

 横で猿に突かれていた花蓮から悩ましい声が漏れた。気を失っていても身体が反応してしまったのだ。
 花蓮の喘ぎ声に興奮した猿は、ピストン運動を更に早めた。

「ああん、あ、あ、……………………え!?

 花蓮は目を覚ました。そして全裸、更には化け物と繋がった己の姿を見て驚愕した。

「……なっ、何で!? ちょっ……、やめろおぉぉぉ!!

 相手を跳ね除けようとしたが背中が傷み、碌な力が出せなかった。

「離れろっ、やめろっ、やめて、うぐっ……」

 花蓮が暴れようとすると中が締まり、悦んだ猿によって余計にズボズボと搔き回された。
 そして隣りの茜にも、ついに猿の男根が挿し込まれたのであった。

「きゃあぁぁぁぁぁぁ!!!!

 かつて体験したことの無い痛みに茜は絶叫した。

「いぎゃあぁぁぁ!!

 激痛で茜の瞳には自然と涙が滲んだ。悲鳴を上げて痛みを和らげるしかなかった。
 花蓮とて、家出時代に男達の部屋を渡り歩いていたので性行為自体には慣れていたが、畜生と繋がることは当然初めてだった。生理的嫌悪感でおかしくなりそうだった。

 ずっちゅ、ずっちゅ、ずっちゅ、ずっちゅ、ずっちゅ。

 少女達は知らなかった。迷宮の魔物の体液には媚薬効果が有ることを。
 唾液、そして射精前でも肉棒の先端でぬめる液体が、少女達の粘膜から徐々に吸収されて、脳に誤った信号を次々に送り始めた。

「…………は? は、あぁ……」

 少女達の意志を捻じ曲げて、快感が身体を満たすようになるまでさほど時間はかからなかった。

「うっ……くぅ」
「い、嫌、何なのコレ? アソコがムズムズする!」

 花蓮は自ら腰を振って快楽を貪った。
 茜はそこまで積極的にはなれなかったが、股間に神経を集中して刺激を享受した。

「こんな奴にイカされたくない……。でも腰が止まんないよぉ…………ああ!」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

 ずっちゅ、ずっちゅ、ずっちゅ、ずっちゅ、ずっちゅ。

「き、気持ちいい……」
「ああ、ああああ~~~~っ」

 行為に慣れていない茜が先に絶頂を迎えた。中が痙攣して侵入していた凶悪な棒を最大に締め付け、繋がっていた猿も荒い息と共に果てた。
 満足した猿に茜は唇を奪われた。大きく臭い舌が口内へ入り込んできた。頭がぼんやりしている茜は拒絶せず、畜生と粘つく唾液を交換した。

 そして花蓮も。先に猿が彼女の内へ大量射精して、その熱がとどめとなり花蓮はイッた。

「ああっ……」

 花蓮は恋人のように自分を犯した猿へ抱き付いた。彼女は自分からディープキスを仕掛けた。
 もうどうなってもいい。全てがどうでもいい。ざらつく猿の舌を舐めて吸った。

 性欲を解消した魔物は次に、少女の命を欲した。
 茜の方は二体目の猿に犯されていたが、花蓮の相手を務めた猿は、花蓮の頭に両手を添えた。
 彼女の首をへし折る為に。


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