第三十四話 謎の書き込み
文字数 2,484文字
A市に発生した黒いドームは、今も、徐々に広がり続けている。
この事態を重く見た日本政府は、自衛隊を派遣するが、ドームの中へ入ることができず、膠着状態が続いていた。
もちろん、ドームへの攻撃も行われた。だが、ドームは攻撃を寄せ付けず、ミサイルの爆発を吸収するかのように相殺してしまう。
さらに、この異常事態を知った他の国々は、日本へ情報開示を求めてくる。もちろん、情報は全て開示しているのだが、納得いく説明はできていない。そのせいで、新種のブラックホールの実験だという噂まで出てきている始末だ。
これ以上、この状況を放置するようなら、他の国々も黙っていない。
状況は、最悪だ。
──A市 ドーム周辺 非常線内側警戒区域内──
巧人と紅葉は、ドームのすぐそばで調査を行っていた。
紅葉の胸元に
クロが飛びつく。
それを抱えた紅葉は叫ぶ!
紅葉は、粒子となったクロに覆われ、クラフターストライカーへと変身した。
紅葉は、黒いドームに切りかかる。
切りかかるというよりは、バットで殴りつけるような、そんな攻撃だった。
あ、そうか!
心の力……心の力……あと技の名前……名前……
紅葉は、剣をバットを持つように水平に構え、グルグルとコマのように回転を始めた!
その動きは次第に高速になり、風を起こしながらドームへと近づいていく!
紅葉は、ドームを削り取るように穴を開けていく。
このままいけば、ドームを貫通……するはずだった。
だが、回転は次第に衰え、外側に押し戻されていく。
だめ~……。
凡フライでスリーアウトになった~……。
紅葉の猛攻はしばらく続いた。
だが、健闘むなしく、これ以上の結果を出すことはできなかった。
よくやった!
だが、君の努力は無駄じゃない!
今回の攻撃で、この程度の攻撃ではダメだということがわかったんだ。
これは、収穫だ!
この情報を元にして次の勝利につなげるんだ!
とにかく、今日はこれまでだ。
明日は日曜日だけど、神社に集合ってことでいいかな。
はい!地球の平和を守るためです!
時間は惜しくはありません!
突然、ビルの間の路地から人影が現れた。
緑色の迷彩服を着てライフル銃を携帯した、体つきのいい男だ。
こちらに気付いて近寄ってくる。
誰だ!?
こんなところでヒーローごっこやってるやつは……。
おい、君たち!
ここは侵入禁止だぞ!
ロープ張ってあるのが見えないのか!
(ああ、自衛隊の方たちだ!)
ごめんなさい! すぐ帰ります!
──日曜日──
巧人たちは今日、拠点あるの神社に集合することになった。
クラフトル管理局からの物資が朝方届いたこともあって、動くには丁度いい日だ。
巧人は、神社の拝殿のそばで、三人を待っていた。
すると、さっそく神社の裏手から、譲葉が走ってくる。
なにやら慌てている様子だが……。
譲葉は敷石につまづき、巧人を巻き込んで押し倒すように転倒。
転ばされた巧人は、譲葉の大きな胸のクッションで頭を地面に押し付けられる。
(後頭部ぶつけて痛っ! う……鼻血も出た……! しかもこのシチュエーションは……3回目……!)
どうした……そんなに慌てて……。
す……すいません! それより、
巧人様! 掲示板を見てください!
一週間前の書き込みです!
譲葉は、軽く姿勢を起こし、巧人にスマートフォンの掲示板を見せる。
そこには、こう書かれていた。
名前 三人目の女神 2024 6/23(日)0:31【ID:qawsedrftg】
みんな元気? 元気なかったりする?
いそがしい社会に疲れたら、遊びにおいでよファンタジー。
楽しい世界が待ってるよ!
場所はA市とB市の間にある地下鉄の駅からいけるよ!
線路の上をA市に向かって歩いていくとスーパーファンタスティック!
幸せが待ってる! キャハハ!
●投稿場所 A市
巧人と譲葉が、重なり合っている状態で話していると、その場に突然、菖蒲が現れた。
巧人さんは……ロリはロリでも大きい胸のロリがいい。
しかも、鼻血を出すほこ興奮して……それが巧人さんの幸せなんですね。
巧人と譲葉は、すぐに離れて慌てた様子で姿勢を整える。
そうなんです!
いつもわたしの胸が狙われているんです!
巧人さん。
小さな胸だって、そのうち大きくなるかもしれないんですよ。
そのことを忘れないでください。
ですが、その頃には、ロリじゃなくなっているかもしれませんが……。
おっはよー。
ねえ、胸がどうしたの?
胸は牛乳飲んでいっぱい揉むと大きくなるってお父さんとお母さんが言ってたよ。
おはよう。
それ、参考にするわ。
(本当かどうかわからないけど)
……と、話がまとまったところでこれを見てください。
このメッセージ、何か気付いたことありませんか?
譲葉は、先ほど巧人に見せた掲示板の内容をみんなに公開する。
一見、ただのいたずらに見える。
でも、三人目の女神という名前と、最後のキャハハという文字から察すると……。
サードの書いた文章に見える。
そうです。
それと、一番したに記載されている投稿場所を見てください。
A市になっています。
ということは、A市内でサードがこの文章を打った可能性があるのですよ。
なので、かなり信憑性の高い情報なんです。
なるほど。
行ってみる価値はありそうだ。
今日はみんなでそこへ向かうことにしよう。
こうして、謎の文書を見つけた巧人たちは、装備を整え、地下鉄の駅へと向かうことになったのだった。
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