第二話 赤い髪の少女
文字数 1,425文字
空き地の側の歩道が突然光る。その光の中から一人の男が出現した。
服はボロボロ、擦り傷だらけでひどいありさまだ。
巧人は、ゆっくりと周囲を見回し、状況を確認する。
空き地に立っている上りに「好評分譲中」と書かれたのぼりが立てられている。身近なものを見つけた巧人は、少しだけ安心した様子で深呼吸をした。
巧人が思い出そうとしていたのは基礎工事のことである。だが、メテオインパクト前の記憶がほとんど失われているため、はっきりと思い出すことはできなかった。
巧人を見つけた少女は、その姿を見て心配そうに詰め寄ってきた。
クラフトル数値とは、戦闘力といっていいだろう。
ちなみに、巧人の所属する管理局のエース級のストライカーは、約3000のクラフトル数値を持っている。
(巧人のクラフトル数値は一般レベルの300)
やっちゃいけないと分かってるんだけど……。
(ここは適当にごまかしておこう。もしかすると、この娘がさっきの巨大暴走クラフトルを倒した可能性がある。いったいどこの所属なんだ……)
ねえ、名前を聞いていいかな。俺は守本巧人。所属はA地域のクラフトル管理局員だ。
揺れはすぐに収まったが、巧人はその時、不穏な気配を感じていた。
それは、紛れもなく、先ほど巧人を襲っていた巨大暴走クラフトルだった。
巨大暴走クラフトルは体を伸ばし、まるで獲物の逃げ場をふさぐように巧人と紅葉を取り囲んでいく。
二人がそれに飲み込まれるのは、時間の問題だった。