第三十八話 屍の町
文字数 2,626文字
転送ポータルは、どうやら指定の敵を倒さなければ出現しないらしい。
屍の町は三美の町から遠いので、一度、別な町に拠点を移すことにした。
これは、万が一死んでも近くの町から出撃できるようにするための保険だ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
屍の町から一番近い女神の町。
優雅な貴族が住むような屋敷が連なるメインストリート。
大きな闘技場や、コンサートホール。
遊園地のような施設や、高級品を扱うお店。
町に常駐する人々のレベルが高いだけあって、町のレベルも違うようだ。
しばらく道なりに移動、そして森林に入る。
もちろん、そこは敵の出やすい場所だ。そこを通過しなければ目的地へはいけない。
それでも、敵は弱いので今の装備で十分戦えるレべルだ。
敵の攻撃をくらっても体へのダメージはないが、数値を減らされるのはまずい。
HPが0になれば、戦闘不能になってしまうからだ。
パーティー全員のHPが0になった場合、謎の光でポータルへと飛ばされてしまい、またやり直しになってしまう。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
巧人たちは、ダメージに気をつけながら出現する敵を倒しつつ、森林を抜けて目的地に到着した。
辺りは、昼間なのに、その場所だけが薄暗く、不気味な雰囲気を漂わせている。
屍の町は墓守の住居が数件あるだけで、あとは全部、墓地だった。
すると、それを待っていたかのように、モンスターたちが周囲の地面から湧いて出てくるのであった。
屍の魔女は地面を滑るように移動し、墓石をすり抜けながら全体攻撃をしかけてくる。
その場にいる巧人たちのHPにダメージが入り始めた。
すると、墓地一面が凍り付き、それと同時に屍の魔女の動きを封じることに成功した。
屍の魔女は、その一撃で跡形もなく砕け散る。
しばらくして、倒したはずの敵が謎の黒いオーラに包まれる。
だが、倒しても倒しても、転送ポータルが出る気配はなく、屍の魔女はすぐに復活し、敵のポイズンミストで少しずつ体力を削られていくのであった。
戦闘不能者に絡みついた黒いものは、突然光を発して天高く光の柱を作り出す。
巧人たちはその後、最後に登録したポータル、女神の町へと転送されるのだった。