第四十八話 感動の再会
文字数 2,476文字
巧人は、少女たちが人型ダーククラフトルとの戦闘に入る中、抱えた胡桃を繭のある柱へと運び、避難させていた。
その後巧人は、柱の根元にある管を調べ、確信を得たようにうなずく。
繭と柱をつなぐ無数の管は、力を吸い上げるように蠕動運動を繰り返していた。
供給を断てても、時間がかかっては意味がない。
柱を一本一本渡り歩いて切り飛ばしていれば、さすがに気付かれてしまう。
巧人は、何か良い方法がないかと考えを巡らせる。
完全に中の世界に夢中になってしまっている。
これでは手が付けられない。
試行錯誤している巧人に、胡桃が声をかける。
人影は剣のような武器を右手に持ち、ゆっくりと胡桃に近づく。
こうして、一つの問題は解決した。
だが、もう一つの問題はまだ解決していない。
そのうえ、現状を打破しなければならないというおまけつきだ。
それはね……。
あの大きな柱の中がビルの屋上とつながってるんだ。
そこで隠れて寝泊まりをね。
そこから外へは出られなかったけどねー。
食べ物は、わたしのユニークスキルみたいな能力があってさ。
それで食べていけたよ。
実は、この剣もそれで作った。
敵を一撃で倒せるんでチート武器だって言われたから使わなかったけど。
巧人はゆっくりと剣を眺める。
(クリスのクラフトル数値は1000……クラフターの上限ギリギリの数値か……なら、このぐらいは作れて当然か……ん、まてよ……そういえば、胡桃は動くぬいぐるみを作れたような……)
その時巧人は「二人の能力を合わせれば何かできるはず……」と、そう考えていた。
その考えはゆっくりと収束し、答えへとたどり着く。
管は一瞬で切断された。
強大な敵を相手に戦う少女たちを勝利させるための布石。
だが、刻々と少女たちの体力は削られていく。
まさに、時間との闘いであった。