第十六話 消耗戦
文字数 1,718文字
応援の当てが外れた巧人は、譲葉を信じるしかなかった。
蜘蛛型暴走クラフトルは、腹の先端をこちらに向け、攻撃態勢に入る。
リミッター解除!
その間に、譲葉は変身を始めていた。
譲葉の体は激しく輝き、オーロラのような羽衣をまとう。
そして、それらが譲葉の体に収束し、新たな形態を作り出した。
緑色のマントを羽織り、銃を持つその姿は、アメリカ西部開拓時代のガンマンのようだった。
一見滅茶苦茶に撃っていると思われる攻撃は、ストラクチャーユニットの補正によって、全てコアを貫通する。
カーソルでロックされた場所に向けて銃を撃つだけの簡単なお仕事だ。
敵を殲滅している譲葉はとても生き生きしていた。おそらく、ゲーム感覚で攻撃しているのだろう。
この消耗戦はしばらく続くのであった。