第四十六話 暗黒の三女神
文字数 2,307文字
ここは、ファンタジーな世界とは真逆。無機質で暗黒の世界。
暗い空間が四方を埋め尽くす。
ファンタジー世界で映し出されていたUIは、巧人たちの視界から消えていた。
ゲームの影響下の範囲外に出たということだろう。
そう、ここは巨大なダーククラフトルドームの上の階層なのである。
巧人たちは、柱へと続く光の中を進む。
足音だけしか聞こえないほどの静けさだ。
その静寂に耐えきれなくなった胡桃が心細い声でたずねる。
巧人たちは、ゆっくりと光の通路を進む。
何かを見つけたようだ。
だが、それとは別に、もう一つの反応を探していた。
それは、なんの根拠もない希望だった。
取り込まれてからすでに2週間以上は経過している。
生存は厳しい。普通なら、あきらめている状況だ。
だが、少女たちは違っていた。
少女たちは前向きだった。
この先、サードたちと戦わなければならない事態になるかもしれない。
それに対しても、まったく気後れなどしていなかった。
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しばらくして、そびえ立つ柱の根元へとたどり着く。
そこには、柱を中心にして、無数のダーククラフトルの繭が、放射状に並べられた。
巧人たちはそれに気づくと、ゆっくりと後ろを振り返る。
振り向いた先にいたのは、セカンドとサードだった。
巧人は、その数値の変化を敏感にキャッチした。
敵は戦闘モードに移行した。
変身を解いていた菖蒲は、危険を察知して即座に変身する。その後すぐに、セカンドとサードの後ろから黒い霧が発生、収束する。
収束された霧は、もう一人の人型を形作る。
たぶん、何らかの方法で体を形作っている可能性がある。
おそらく、今ダメージを与えてもすぐに復活するだろう。
でも、これで大体の見当はついた。
俺が、やつらへの力の供給を断つ。
だから、それまでやつらを引き付けておいてほしい。
繭には人間が入っており、ダーククラフトルの大事な供給源でもある。
むやみに攻撃はしてこないと踏んでの行動だ。