第四十話 小さなクラフター能力者
文字数 3,158文字
──寝室──
その後は疲れを癒すため、ゆっくりと就寝するのだった。
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巧人たちは次の日の朝、宿屋の朝食後にラウンジへと集まる。
そこで、今後の情報を胡桃から詳しく聞くことになった。
子供は舐められるから、情報はちょっとづつ教えていかないとダメだって。
お姉ちゃんが一度それで、パーティーを追い出されてるから。
別にお兄ちゃんたちを疑ってはないけど、これだけは絶対。
でも、信じてくれたらちゃんと案内する。
だが、胡桃の不可解なユニークスキルのことを聞いた巧人は、一つ思い当たる点を見つけ、その能力を使用した。
思い当たる点……それは、クラフター能力である。
クラフター能力は、クラフターストライカーよりも、小さい力の持ち主が扱うことができる。
クラフター能力者向きの能力値は、だいたい500~1000クラフトルと言われている。
上記の数値以下なら何も作れないし、それ以上でも作ったものが安定しない。
1000クラフトルを超えた場合は、クラフターストライカー向きの能力になる。
この場所はクラフトル粒子濃度が薄いことを巧人は十分理解していた。
作成に失敗する原因はそれであると。
特に、食べ物は情報の宝庫。好きな食べ物ならなおさらだ。
視覚、味覚、触覚、嗅覚、聴覚(食べた時の音)と、五感の記憶がフルに呼び起こされることにより、再現率は格段に高くなる。
こうして巧人たちは、クラフター能力を持つ胡桃を正式なパーティーメンバーとして迎え入れ、ドラゴン攻略に乗り出すのだった。
まずは屍の魔女の討伐。胡桃の情報通りにいけば倒せるとの事だが、はたして、うまくいくのだろうか……。
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──その時だった──
突然、巧人たちの目の前を一人の老紳士が通りかかった。
落ち着いた風体に気品ある風格。
その老紳士を、巧人だけは知っていた。
老紳士はこちらに気付き、声をかけてくる。