第五話 喋るクロ
文字数 1,099文字
解除された装備は光の粒子となり、収束して黒い猫の姿に戻る。
紅葉は、黒い猫を抱え、さっきの戦闘で高ぶった心を落ち着けた。
でも、一応この猫は置いていくよ。
もう君のものになってしまったからね。
ストライカーシステムは管理者権限でロックしておくけど、今回のようなことが起きたら、その猫に俺を呼ぶように指示して。そうすれば、俺に連絡が来るから。
必要があると判断した場合は、ストライカーシステムのロックを解除するからね。
あと、戦闘記録はログとして残るから。決して悪いことには使わないように。
巧人は、戦闘後の後処理を考えながら、壊れたのぼりや柵を見て、ため息をつく。
Z市と書かれた路地のプレート。メテオインパクトで荒らされた形跡のない風景。
そして、巨大暴走クラフトルを包んだまぶしい光。クラフトル数値が9000以上もある謎の少女。
わからないことだらけの状況を目にした巧人は、不安を募らせていくばかりであった。