第九話 騒音の中で
文字数 1,813文字
クラフトル管理局員である巧人にとっては、放置することのできない状況だ。
(この娘……クラフターストライカーというわけではなさそうだ……。管理局に連絡をいれても座標が不明な今はこちらで対処するしかない。となると、紅葉に連絡を入れるか、それとも、この娘に……)
その音は、まるで音程のズレたロックのような雑音の歌だった。
強烈な騒音は、巧人と少女の聴覚を襲う。
どうやら耳栓のようだ。
公園中央のメガホンの塊に気を取られていた二人は、箱状の黒い物体が自分たちを取り囲むように展開されているのに気が付かなかった。
その黒い箱は、まるで、ウーハーボックスのように腹を殴るような重低音を奏でる。
そして、書き込んだメッセージを少女に見せた。
けれども、今のままでは駄目だ。
俺が今から作り出すものを手にして、次の言葉を叫んでほしい。
「クラフトラフトエクスチェンジ」
そうすれば、このぐらいの音になら、耐性がつく。
そして、俺のクラフターストライカーになってはくれないか?
巧人は、クラフトの力が詰まったカプセルと宝石箱をとりだし、その宝石箱にカプセルをセットした。
爆音暴走クラフトルとの戦いが始まる!