第七話 青い髪の少女
文字数 988文字
巧人は、建設途中の家の中で夜を明かした。そして、日が上ると同時に開発分譲地を離れ、近くの住宅街の探索を始めていた。
民家のポストに入っていた新聞を軽く広げて、日付を確認する。
持っていた通信端末に表示された日付と照らし合わせ、同じことを確認した後、新聞をポストに戻してため息をつく。
巧人は、気を取り直して住宅街の先にある高台を目指す。
しばらく歩道を道なりに歩いて、公園のある小さな丘にたどり着いた。
高台にある公園。
東屋から町の様子が一望できた。
周囲を見渡すと、海と山、街の景色が美しく広がっている。
録画をしていると、公園の遊歩道に、少女の姿が映る。
その少女は、セーラー服を着てイヤーマフをした青い髪の学生だった。
巧人は、風景の録画を中断して、端末ごしにその綺麗な髪の毛に見とれていた。
すると巧人は、少女の頭上に15000という数字があるのを見つけた。
それは、巧人だけに見えるクラフトル数値だった。
だが、少女は、その声に反応せず、何事もなかったかのように本を読みながら通り過ぎていく。
だが、やはり反応がない。
少女に追いついた巧人は、少女の進路の前に出て少女の視界に入った。
さすがに、進路をふさがれては、少女も存在に気付く。
少女は足を止め、持っていた本を閉じた。