第五十七話 神の守護
文字数 2,215文字
ダークタクトが放ったグラビティーフィールド。
その荷重は、少女たちの体を地面にめり込ませるほど強力なものであった。
少女たちは、動きを完全に封じこめられてしまう。
氷の玉はゆっくりと強度を増し、膨張を続ける。
もちろん、ダークタクトには悟られてはいない。
巨大な氷の玉がダークタクトの頭上で落下を始めた。
その後、氷の玉はグラビティーフィールドの力に引き寄せられ、どんどん加速する。
強大な氷の玉が、高笑いを決め込んだダークタクトへ直撃した。
ダークタクトは砕け散った氷に埋もれていく。
それと同時に、グラビティーフィールドの効果も消失した。
この隙に、少女たちは体勢を立て直す。
能力の途切れた隙をついて、少女たちはダークタクトを取り囲むように三方向へ散開した。
一方、攻撃をうけたダークタクトは、砕けた氷のがれきを一瞬にして吹き飛ばし、姿を見せる。
そして、黒いオーラを激しく燃え上がらせ、怒りの表情を見せた。
辺りは黒い霧に覆われた。
だが、少女たちは、そんな状況にも怯まずに攻撃態勢に入る。
グングニルスティンガー!
────クラフトルブースト!
クラフトルブースターで威力を上げた黄金に光る槍を放つ!
全てを凍らせる絶対零度の冷気!
浄化の力を帯びた五本の矢!
その攻撃は、暗い霧を吹き飛ばし、ダークタクトに直撃する。
ダークタクトは、やられてなどいなかった……それどころか……。
そして、この黄金の輝きは、草香の絶対防御、神々の守護。
その力だったのだ!
そして、その霧は一瞬にして大きな壁へと変貌する。
少女たちは、その大きな壁の中に、一瞬で閉じ込められてしまった。
空気を吸わせないだけで簡単に息絶える。
だが、安心しろ。
例え肉体が死んでも、お前たちはダーククラフトルに取り込んで我が力となるのだ。そして永遠に生き続ける。
フハハハハハ!
もちろん、今助けないと危ないことぐらいはわかっている。
動けるものなら動きたい。
だが、それはすぐには叶わない望みだった。
だが、少女たちの危機に間に合わず、何もできない自分に落胆していた。
そんな時、横で寝ていた草香の体が、うっすらと金色の光を放っていた。