第四話 もう一つの力
文字数 1,299文字
だが、新しい力を手にした紅葉は、怯まなかった。
紅葉は、手にした剣を巨大暴走クラフトルの壁に向かって力いっぱい振り抜く。
だが、それはあまりにも固く、何度切りつけても、はじき返されてしまう。
本来の姿を取り戻した巨大暴走クラフトルは、体を数か所触手状に伸ばし、鞭のようにしならせて攻撃を始めた。
幸い、巨大暴走クラフトルの攻撃は単調だったため、紅葉は冷静に対処していた。落ち着いた剣と盾さばきで触手の攻撃を防いでいる。
相手の攻撃に慣れてきた紅葉は、時折踏み込んでスライム状の塊を吹き飛ばし、コアを露出させる。そして、追加攻撃でコアを叩くのだが、やはり、コアは固く破壊するのは困難だった。
紅葉さん! よく聞いて!
やつのコアを露出させたら、「クラフトラフトエクストリーム」と叫ぶんだ!
そうすれば、今より強い形態になることができるかもしれない!
いや、君ならできるはずだ!
ただし、かなりの体力を消費する!
チャンスは一度だ! 一撃で決めてくれ!
巨大暴走クラフトルは、紅葉の攻撃で体の半分が吹き飛ぶ。その瞬間、赤く光るコアが露出した。
リミッター解除!
そして、それらが紅葉の体に収束し、新たな形態を作り出した。
赤い翼に赤い槍。攻撃に特化されたようなメカメカしいその姿は、まるで神話に出てくる女神のようだった。
槍は、コアにザックリと突き刺さる!
巨大暴走クラフトルの体は、それと同時に蒸発し、虹のような輝きを放ちながら周囲へと拡散していった。