第六十話 黄金の輝き
文字数 2,253文字
巧人の両腕から放たれた激しい光、スーパーソニックインパクトは、むき出しになった巨大な赤いコアを直撃した。
だが、コアは傷一つ付いていなかった。
コアは、内部を守るように銀色の輝きを発していた。
おそらく、その銀色の輝きが攻撃を防御したのだろう。
しばらくして、コアはまた赤と白の点滅を繰り返し、ダーククラフトルを再生、膨張を始める。
吸い上げた
クラフトルを防御に回したのだろう。
どうやら、シールドの完全な具現化をしているようだ。
こうなったらもう、アレをやるしかない。
今度は確実に…………!
巧人は、全身に力を込めて、貯蔵した大量のクラフトルを放出する。
俺の最後の攻撃だ!
これが通用しなかったら、どの道、こいつを破壊する手段はない。
いくぞ!
全クラフトル放出!
リリースクラフトジエンド!
そして……
その想像による攻撃は、全てを分断する竜巻を発生させた。
竜巻の刃がコアを深く切り刻む!
巨大なコアは、深く刻まれ、分断されていく…………はずだった。
刻まれたコアは、映像を逆再生するかのように、傷を修復していく。
あっという間に元通りになってしまった。
それよりも……もう打つ手がない……。
俺はこのまま、この大惨事を引き起こした魔物をどこかへ解き放ってしまうのか……。
切り札の攻撃も通用しない。
予想外の展開に巧人は失意のどん底に陥った。
ここで、全ての因縁にけりをつけるはずだった。
だが、それは叶わなかった。
それは、自分で判断するものだ。
わたしから見れば、お前は力の全てを出し切り、それでも目的には届かなかった。
そう見えるがな。
そうか……。
でも、これじゃあ……勇敢に戦って散っていった紅葉に顔向けできないな……。
だが、巧人。
落胆するのはまだ早いぞ。
下からくる反応を見ろ!
下?
……………………。
なんだ……この反応……10000クラフトル……これはまさか……!
その反応は、ものすごい速度で上昇していた。
そして、あっという間に上層へとたどり着く。
その後、崩落した地面から飛び出し、黄金に輝く飛翔物へと姿を変え、上空へと舞い上がった。
黄金に輝く飛翔物は空中で静止。
その姿は……紛れもなく紅葉だった。
遅いよ、
巧人くん!
わたし、死にそうになったんだから……。
ああ、本当……すまない……。
俺の力が足りなかったばっかりに……。
ああ、無事だ!
みんな、ちゃんと避難したはずだ!
でも、どうやって……力はもう使い果たしているんじゃないのか?
うん。使い切った。
クラフトルもなくなってた。
だから、なんとなくだけど、クラフトルのあるところへ行こうと思った。
違うよ。
だって、それしか選択肢がなかったし、クラフトルが奇跡を起こすのなら……もしかして……って思って……。
実を言うとね、運が良かっただけかもしれない。
落ちている時、視界にゲームの画面が現れて……。
その後落ちる速度が下がって……保護機能がどうたらこうたらってメッセージが出て……。
気がついたら、女神の町にいた。
うん……。
でも、魔物が異常な暴れ方をしていて、みんなが総出で戦ってた。
そのおかげでクラフトルが充満してたみたい。
ちょうど、クロもついてきてくれてたから、どうにかしてって頼んだら、どうにかしてくれた。
そうか、クラフターストライカーデュアルの恩恵で、ストラクチャーユニットのシステムに修正が入ったから、クラフトルを吸収できたのか。
じゃあ、わたし……。
やれること、やるね。
あれをどうにかすればいいんだね。
紅葉は、オーロラに輝く剣の剣先を、むき出しになった巨大なコアに向けた。
ああ、そうだ。
(あれ、このモード……武器が違う……これはいったい……)
紅葉は剣を突き出し、高速回転をしながらコアへと向かっていく。
逆転サヨナラ満塁ホームラン。
それが巧人の脳裏によぎった。
それは、幾度も必殺技認定されない、微妙な技だった。
だが、その心配は無用だった。
なぜなら、その技は…………
設定項目追加。
必殺技イメージ確認。
イメージ固定。
キーワード設定。
必殺技名【逆転サヨナラエクスカリバー】登録完了。
…………必殺技として認証されたからだ!
高速回転する剣がコアへ直撃する。
衝突の瞬間、コアは、甲高い金属音を立て、ダーククラフトルドームの天井へと勢いよく飛んだ。
ええっ!
飛ばしただけ!?
(まずい、破壊しないと……)
さらにコアは、ダーククラフトルドームの天井を突き破り、大きな穴を開け、さらに上空へと飛んで行く。
実はこの時、
紅葉の高速回転の打撃を受けたコアは、その衝撃で高速回転する。
その回転の遠心力は、とてつもなく強力で、コアの外側の固い殻を吹き飛ばし、コア内部の崩壊を誘発した。
その後、コアは崩壊しながら上空で静止。
その瞬間…………
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