第二十五話 暴徒
文字数 2,150文字
サードの襲撃、セカンドの存在、その他、危険な存在の可能性を予見した巧人は、もしもの場合に備え、能力を鍛えるように紅葉たちに指示した。今の状況で人型暴走クラフトルと遭遇しても、おそらく勝ち目はない。なので、早く能力を強化しなければならない。
現在の、各クラフターストライカーの能力値だが、菖蒲、譲葉、草香については、頭打ちであり、紅葉だけが能力値を伸ばしていることがわかった。
現在の紅葉の能力値は12000クラフトル。初めて会った時が9000だったので、その差は3000だ。さらに、頭打ちになっている気配はなく、まだまだ強くなる可能性を秘めている。
他の二人は、能力値の変化がないため、スキルや技の練度を上げ、攻撃倍率を上げていく方針だ。
現在のクラフトル数値。
草香 5000
紅葉 12000~?
菖蒲 15000
譲葉 12000
それと、紅葉たちは、正式にクラフトル管理局の一員になったので、規約に準じて任意に変身することを許されている。なので、ロックの解除申請を行う必要はなくなった。
だが、しばらくは、緊急の場合を除いて、人目につく場所でのクラフターストライカーへの変身は自制することになる。
こちらの世界では、クラフターストライカーの存在は知られていない。
なので、人目につく場所で変身すれば大騒ぎになり、今後の活動に支障が出てしまう。それだけは避けなければならない。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ある日曜の朝。
巧人が寝ている拠点の物置小屋の戸を、誰かが激しく叩いていた。
譲葉は、軽く姿勢を起こし、巧人にスマートフォンの動画を見せる。
その動画には、1人の男がA市で暴れている姿が映し出されていた。
その時、一緒に倒れ込んでいる巧人と譲葉の側に、ものすごいプレッシャーを周囲にまき散らす人影が現れた。
これはもう、誤解をされても仕方のない状況だ!
二人は、すぐに離れて慌てた様子で姿勢を整える。
こうして巧人と草香は、不可解な暴徒多発事件と、人型暴走クラフトルたちの目的を探るため、A市の調査へと向かうのであった。