第四十九話 譲葉VSサード
文字数 1,965文字
もちろん、ダーククラフトルの供給が断たれるまでは、攻撃しても無意味ということを彼女たちは理解していた。
だが、相手は人型ダーククラフトル。
力を温存した戦い方でどうにかなる相手ではない。
徐々に苦戦を強いられる。
譲葉はサードの出すモンスターを駆除し続けていた。
だが、サードは顔色一つ変えず、むしろ、それを楽しんでいた。
モンスターたちは、ここぞとばかりに隙のできた譲葉を攻撃する。
譲葉の体は数メートルほと吹き飛ばされる。
そして、襲ってくるモンスターを即座に排除し、サードの攻撃に備えた。
サードが攻撃するには絶好のチャンスだったのだが、攻撃はしてこなかった。
ただ、両手を広げて腕を前に出し、何かを念じている。
力を溜めているわけでもなさそうだ。
見た目は譲葉と似たような銃だった。だが、異様なオーラを放っている。
譲葉は、サードの銃口の先を見て射線を確認する。
だが…………。
ストラクチャーユニットが警告を発した。
普通ではありえないカーブを描きながら、譲葉へと着弾。
そして爆発をおこす。
銃弾は追尾機能の爆発のついたチート銃弾。逃れる術はない。
譲葉は回避を諦め、防御に徹する。
ただ、ひたすらサードの銃弾を見ようと集中する。
当たりたくない。
だが、避けられない。
完全にガードする手段もない。
ならば──破壊するしかないのだ。
譲葉は信じた。
自分になら、サードの弾丸を打ち落とせる。
そう信じた。
やがて、その思いが功を奏する。
集中力が限界に達したその瞬間、ストラクチャーユニットがその集中力に反応したのだ。
コンセントレイション同期。
オート照準機能レベル2解放。
「スーパーコンセントレイション」
────発動────
譲葉のオート照準カーソルがサードの銃弾を全てロックする。
譲葉はただ、引き金を引くだけの簡単なお仕事だった。
時の速度が回復した瞬間、サードの撃った銃弾は譲葉に着弾する前に全て爆発した。
その効果は驚くべき効果だった。
だが、効果の代償はあまりにも大きい。
力の発動は瞬間的であれ、多大な体力を削るものだった。
多用はできない。
とどめを刺すための力はとっておかなければならない。
そして、大きめの弾丸を銃に込めた。