第十二話 平行世界
文字数 1,773文字
巧人は今、住宅建設現場を根城にして身を隠している。
サバイバルキットの食料も残り少ない。
巧人は夕食の非常食を大事にほおばっていた。
食事が終わると、巧人はその情報を管理局局長の元へ通信端末で送信する。
思ったよりも、早く情報がそろったようだ。
送信した情報は、地形の建物の位置情報。生活様式の情報。紅葉、菖蒲のクラフターストライカーとしての能力情報などである。
情報を送信して数時間後、局長からの通信が入った。
マップ情報が追加され、Z市のマップ情報が現れた。
現在、巧人さんが前に言っていた謎の光が、暴走クラフトルとの戦闘中に頻発するようになってきました。
それに遭遇したフラフターストライカーの戦闘データを解析した結果、謎の光に巧人さんの端末への通信に干渉していた干渉波が観測されていました。
おそらく、それを解析することによって、こちらからそちらへのつながりを作り出すことが可能になるかもしれません。
現に、クラフターの技術により通信ができています。なので、それを応用すれば物体移動も可能なはずです。
あと、世界線や特異点、平行宇宙に平行時空。異世界転生と異世界転移の資料をデータで送っておきます。
それと、メテオインパクト前の一般常識のデータも送っておきます。何かに役立ててください。
巧人は平静を装っていたが、驚愕の事実を知った今、体が引き裂かれそうな孤独感を感じていた。
メテオインパクト前の記憶がないのに加え、知らない場所、知らない世界で生活していかなければならない。
第一、無事に元の世界に戻れるかもわからない。
巧人は、通信端末を握りしめ、元の世界のことを思うのだった。