第四十四話 龍の洞窟
文字数 2,340文字
洞窟は、所々発光しており、ライトがなくても先を見ることができた。
おそらく、この洞窟の先に龍が待ち構えているのだろう。
洞窟内は、迷路のようになっており、複雑に入り組んでいた。
幸い、UIにオートマッピング機能があるので、迷うことはない。
一つ一つ道をチェックしていくだけの、簡単なお仕事である。
さすがにラスボスのいる場所だけあって、マップは広い。
だが、一度決めた道は最後までマッピングしていかないと、後で面倒なことになる。
ここは、こまめにマッピングしていくしかないのだ。
マッピングに精を出しつつ、奥へ進と進む。
けれども、ここは最後のダンジョン。
そう簡単に攻略させてくれるはずはない。
モンスターが出現し、先へ進もうとする巧人たちの行く手を阻む。
そして、出現した敵の一掃を開始した。
譲葉のツインハンドリボルバーは、まるでマシンガンのような音を奏でて銃弾をまき散らす。
だが、ここは洞窟内なので、音が反響してしまう。
その結果、工事現場以上の騒音が他のメンバーを襲う。
その後も行き止まりや敵との戦闘、トラップ、宝箱の発見と、いろいろな出来事に遭遇する。
もちろん、譲葉のおかげもあり、戦闘で無駄にHPを減らすことはない。
HPがなくなって全員が戦闘不能にでもなれば、また女神の村からやり直しだ。
それだけはさけたいところだ。
そんなこんなで探索を続けた結果、マッピングも順調に進み、残すは最後の一本道だけとなった。
敵の気配はない。まるで嵐の前の静けさだ。
しばらく進むと、先頭を歩く巧人が何かにぶつかった。
その後、他のメンバーも何かに体をぶつける。
どうやら、何か文字のようなものが書いてあるようだ。
すると、その立札には「調整中」と書かれていた。
次の瞬間、紅葉は叫ぶ。
その攻撃は、見えない壁へと炸裂する。
その瞬間、ガラスが砕けるような音とともに透明な壁が崩れ落ちた。謎の結界を破壊したのだった。
そして、ある広間にたどり着く。
広間は野球場のドームほどの広さがあった。
天井に隙間があり、光が差し込んでいて、かなり明るい。
さらに、中央には食べかけの大きなマンガ肉が置いてあった。
ゆっくりと周囲を警戒しながら進む。
ちょうど半分ぐらいの距離を進んだ時だった。
マンガ肉の手前が突然輝き、巨大な黒いものが出現した。
その黒いものはゆっくりと姿を形成し、色と形を変え、あるべき姿へと変貌していく。
──あるべき姿──
それは……凶悪なドラゴンの姿だった。