第7話 ひとり暮らし・1日目

文字数 969文字

 今日から10日間、私は自由だー。何故かはおととい書きましたよ。そうです。夫が四国のお遍路へ行ったんです。この家で初めて過ごす、ひとり暮らし。無駄にはせぬぞ〜、決して。

 午前5時。最近日の出が遅いから、寝ているのだが、今日に限っては目覚まし無しでも起きることができた。5時半に夫が家を出ると言っていたからだ。向こう10日間の外出。何年振りだろう、このような長期間は。以前は出張での外出。定年退職してもうすぐ4年。毎日のように散歩に出掛ける脚力は、お遍路には充分だろう。

「行ってきます」

 ボソッとひと言残し夫は出掛けた。外はすっかり朝の色。キャスター付きの小ぶりなスーツケースを提げ、スタスタと歩いて行った。キャスターを使わないのは音に敏感な夫のこだわり?なんと言っても朝の5時。アスファルトの道をゴロゴロさせるのは気が引けたのだろう。無粋な私ならそこは構わず爆音あげて夫の耳を逆なでるに違いない。

 朝の6時前に、夫不在期間のスタートは切られた。とは言え、いつも夫は一階、私は二階で過ごすことが多いから、違和感が全くなかった。そのままスキンケアをして、朝食を摂り、ブログを書く。普段どおりだ。つまらない。今しかできないことは何だ。昨日の夜、寝床で私の10日間をあれこれと考えていたのだが……

 コロナ禍でなかったら、絶対旅行していただろう。緊急事態宣言は解除されたが、電車や飛行機での遠出や宿泊は、やはりまだ躊躇してしまう。では、このまま家に籠って片付けや断捨離三昧ではあまりにも切ない。とりあえず、初日の今日は、車に乗って出かけよう。帰宅時間も気にせずに、晩御飯の用意も必要ない。ドライブがてら1時間ほど離れたアウトレットへ。

 目的地までの道のりは、紅葉が始まろうとしていた。お昼に到着。途中ランチを挟みながらぶらぶら散策。手頃な秋物を2点購入して午後3時。「ラッシュアワーにかかると面倒だなぁ」とそのまま帰路へ。これじゃあ、夫が居るときと同じじゃん。何がしたいの?私。いや、明日はもっとアクティブに行こうじゃないか。

 晩御飯は、鶏モモ肉が消費期限だったので、唐揚げを作ってビールで乾杯しました。こんなときくらい手間いらずの惣菜や弁当でも買えばいいのに。冷蔵庫の食材を知り尽くしているので、そんなもったいないことできません。私、小心者です。

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