第59話 舞台裏

文字数 929文字

 美容室での待ち時間にセリーヌ・ディオンのラスベガス公演のDVDを見せてもらっていました。お会計のあと「バックステージも面白いよ」とDVDを貸してもらいました。

 2005年のラスベガスコンサート。絶頂期のころだろうか。曲名はわからなくても、曲を聴けば「あー、うんうん」という感じ。表舞台は素晴しかった。では、裏は?興味津々で見たら……
もし表と裏のどちらかのDVDを選べと言われたら、私は迷うことなくバックステージを選ぶだろう。

 何が気に入ったか。ひと言で言えば『カッコいい』何気ない仕草も簡単な会話も絵になっていた。セリーヌを筆頭に、50名ほどいるダンサー、プロデューサー、タイムキーパー、舞台美術、演奏家、メイクアップアーティストなどなど。どの人にもカメラを向けていた。全てを伝えたいくらい素晴しいプロの集まりで、コンサートが成り立っていると教えられる。

 どの場面も甲乙付けがたいが、敢えて挙げるとしたらダンサーの舞台裏。曲に合わせた衣装に着替えたあと、出番が来るまでのウォーミングアップの様子は、身体を(ほぐ)したり、緊張を抑えるためなのか鼓舞させるためなのか、自分の手で脚全体をパンパンと叩く姿が印象的だ。また出番直前の待機中は、ジョークを言い合うような光景で、自分をわざとリラックスさせているかのようだった。そして舞台へ。転んだ、ぶつかったなんてことは、あり得ない完璧な動き。

 舞台袖に戻る様子もあった。舞台から全速力で戻ってきた顔は「あー楽しかった!」と言わんばかりの満面の笑み。みんながみんなそうだった。衣装替えしては舞台に上がることを何度か繰り返し、コンサートが終盤になったころ、出番を終えたダンサーたちは、膝丈ほどある氷水のバケツに脚を入れていた。見るからに冷たそうだが、お喋りしながら楽しそう。トレーナーのような人からマッサージを受けている人、脚にテーピングをされている人もいた。脚を酷使していたことが分かる。

 ステージで華麗にアクロバティックに踊る彼らは、セリーヌと一緒に立てば脇役だが、舞台から降りたあとの立場は、ひとりひとりがその道のプロとして尊敬されているに違いない。

 セリーヌの着替えも見応えがありました。機会があれば見てみてください。
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