第52話 身内話・その2

文字数 916文字

 昨日、何十年ぶりかに訪れた従兄弟の家。今日は久しぶりに従兄弟と再会した様子を書こうと思います。

 従兄弟のH君には妹のYちゃんがいる。2人の間が私の年齢だ。同世代なので幼いころは、よく行き来した。夏休み、冬休み、春休み……H君はイタズラ好きのお坊ちゃんタイプで、面倒見が良かった。私はYちゃんと遊ぶことが多かったが。みんな成長し、成人になり、結婚して、子どもができて。Hくんは、すでに3人の孫がいる。私よりも結婚も早かったしね。

 H君と再会したのは、訪問してから1時間後。H君の家は叔母の家の敷地に別棟で建っている。だから、私たちが到着して和み始めたころを見計らっての登場だった。

「ariayuちゃん、久しぶりだね〜」

声と抑揚は、昔のH君だった。容姿は……亡くなった叔父に少し似ていた。思わず、

「おじちゃんに似てきたね〜」

と同じ抑揚で返していた。方言とまではいかないが、言葉のイントネーションは、昔に戻った。今住んでいる場所とは違う言い方。私の場合少し意識的でもあるが、その方がより楽にトチらず話せるから不思議だ。

 ただ、幼いころのお坊ちゃん顔ではなかった。母から時々聞いていたが、それなりの苦労があっての今だと思わせる顔だった。それはお互い様か(笑)H君もきっとそう思っただろうなと感じつつお互いの近況報告をした。

 H君の話は、昔からエスプリが効いている。だから聞き入ってしまうし、話の所々に笑いのツボがある。会話も昔のように流暢になってきたころ

ちゃんは元気そうに見えるけど、どこが悪いの?」

 

ちゃんとは、私の母のこと。H君は小さいころから私の母を、からかい交じりにそう呼んだ。母も久しぶりに呼ばれて嬉しそうだった。ご想像つくと思うが、これは叔母が母をこう呼んでいたから。H君は現在もバリバリの営業マン。天職だと私は思った。

 アラ還ともなると、兄弟ですら会わなくなる。ましてや従兄弟ともなれば。貴重な日になったと思う。次に会うのはいつだろう。お互い、生きて再会したいものだ。大袈裟ではない。私もそんな気持ちになる歳になったのだ。

 帰りの車中で、母はいつになく朗らかでした。連れて行くことができて、私も満足感がありました。
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