第35話 怒っていても

文字数 814文字

 このところ穏やかで秋らしい天気が心地いいですね。温暖化の影響で金木犀の花が二度咲いているとか。極端に寒いのは苦手ですが、晩秋は晩秋の、冬には冬の寒さが落ち着きますね、アラ還世代の私には。

 コロナ明けランチのお誘い第3弾。今回は社宅時代のママ友であり、夫たちが同じ会社に籍を置いた同志。過去形にしたのは、どちらも退職したからだ。ウチは定年、ママ友夫は早期退職。つまり、ウチよりも若くして会社から離れた。偶然にも同じ年に。お互い夫在宅歴3年目と言うわけ。夫に対する愚痴も同じレベルなので、話が合う。だから同志。

 ママ友は私よりも数歳若いので、夫に対する怒りにもパワーがある。「うんうん」と頷きながら聞く私。凄く怒っているのだが、私にはその内容よりも話し方の勢いに元気を貰える気がして、ついつい「ふんふん、それで?」と怒りの炎に油を注ぐ。悪いやっちゃなぁ。面白がると言うより、若いパワーを充電させてもらっている感じ。分かるかなぁ。ママ友夫さんは、退職されたとはいえ、別のお仕事をされている。ウチと違ってまだ現役。

 夫が現役のころ、退職したらエブリデーサンデーなんだから、いつでも何処でも一緒に行けるじゃんなんて夢を見ていた。でも、夢だった。長らく私のエッセイを読んでいただいている人は、ご承知だと思うが、我ら夫婦は会話が無い。いや、極端に少ない。たまに会話しようものなら、夫がとんでもない言葉を発し、眠れる獅子の私を叩き起こすようなことをする。

 そんな夫婦に『一緒に』などと連想させる行動があろうはずもない。だから、夫は従兄弟とお遍路へ行くし、私はひとり旅を満喫しているのだ。現実は夫も私も不幸ではない。ただ、夢とは違った。

 ママ友は夫婦一緒でこその怒りや嘆き。ウチの夫婦が過去へ置き去りにしてきた感情。ママ友を通して懐かしさを味わう。だから私は、同志のランチが楽しみなのだ。

 ママ友の話には、もちろん誠意をもって対応しております。
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