第39話 年末解禁

文字数 937文字

 11月に入り、にわかに年末感が出てきたのは、私だけではないはず。やり残したことにエンジンをかけるのか、無かったことにするのかの瀬戸際辺りなのでは?

 ここ数年、年末の大掃除はしない。()ウチ? 人聞きの悪い。いつもやらない所を寒くなる前にやっている。そろそろ我が家の大掃除のカウントダウンが始まる。リビングのデカイ窓、そこそこの窓、キャットウォークが出来るほどの壁の出っ張り、間接照明の下、各所の換気扇……思いつく場所を書き出してみた。キッチンの換気扇は定期的にやっているので、フィルターの恐ろしいほどの油汚れはなさそうだが、換気扇周りの壁は侮れない。一見キレイ。ひと拭きしたが最後、何処までも続く薄汚れとの戦い。そんな作業に挑むのも、大掃除ならではだ。1日1箇所を目標に頑張る。

 年末を思わせるものの2つ目。おせち料理や年賀状の予約。子どもたちが小さかったころ、おせち料理は手作りしていた。料理の腕があったわけではなく、子育てで忙しい日々だったのにだ。理由は2つ。お金が無かった。体力だけはあった。だから12月29日くらいから、狂ったように動いた。そしてフィニッシュは、年越し蕎麦。

 ある年、生蕎麦を買った。いつもは乾麺。生蕎麦も茹で上がったら、水で締める。それは必要なこと。だが私は生麺だからと、だし汁に直接蕎麦を入れて作った。恐ろしい蕎麦粉のトロミ汁。年末最後の大失態に、子どもたちが同情して

「普通に食べれるよ、お母さん」

と健気に言ってくれた言葉で、さらに落ち込んだ。顔は半泣き、心は号泣。
夫の様子はまるで覚えていない。

 最近はデパートのサイトで買う福袋も恒例になっている。買うのは食品。マストアイテムはコーヒーとワイン。デパートで扱う商品というだけで『高級品がお買得』のイメージ。いや、お得だと思う。売出し初日の開始時間にネットを繋いだが、繋がらない。20分後にサイトを見たら完売続出。おいおい、みんなどうやって繋げてるんだ? こうして私の年末はあらゆる場面で、スタートを切った。

 あまり早いうちに大掃除をすると、また汚れそうなどとの心配は無用です。そんな思いは寒い年末に大掃除をしている人を見かけたとき『あー、やっておいて良かった』と言う魔法のひと言で忘れますから。
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