第60話 私の涙

文字数 890文字

 最近、泣いていますか?どんなときに?どんな感じで?私は泣くツボが変わってきました。悲しくて泣くなんて若い若い。アラ還はねー、泣き所が違うのよー。

 テレビで幸せそうな光景が流れた。「良かったね」と思う気持ちと同時に涙がツツーッと流れて止まらない。なんで泣くんだ?分からない。ただ、私の脳は感激の涙として流しているようだ。このごろ、幸せな場面にめっぽう弱い。感極まるみたいな涙だ。

 以前は、どんなときに泣いていたか。そりゃあ悲しいときが一番多かったけど、悔しい涙も結構あった。そのころは感情移入の涙を流したことが少なかったかも。いや、正しく言えば泣きそうになったら、欠伸を止めるように我慢していた。何故かって?そんなの周りに恥ずかしいからに決まってるじゃん。

 数年前、テレビドラマで悲しい場面があった。涙が出た。隣で見ていた下の子に「あ、泣いてる〜(笑)」と茶化された。それから、自分の中で『コイツは泣くかもしれん』と思う場面が近づくと何気にテレビから離れた。懐かしい。今では、子どもがいようがいまいが、涙は流したい放題だ。涙腺が緩むとはよく言ったもの。

 思い出した。子どもたちが小学校の低学年くらいまでのころ、夫とよく喧嘩した。泣き脅しなどするつもりはなくても、泣きながら喧嘩する様は正にそれだったが、夫は折れることがなかった。あのころほど、涙が枯れるまでという言葉を体感したときはない。子どもたちに隠す余裕もなかった。あまりに泣きすぎて、顔が浮腫んだ。目元がヒリヒリした。しばらく元に戻らなかった。情けなかった。

 切ない涙もあった。愛兎が亡くなったとき。寺院の火葬場で、読経の最中に涙と嗚咽が止まらなかった。家の中で放し飼いにしていたので、柱はかじられた跡だらけ。イタズラされたときは、厄介物扱いをいたことも数知れなかったのに。それでもかけがえのない家族だった。今、コレを書き始めたら目頭が熱くなり涙が浮かんできた。愛兎を思い出すと、今でも止めどなく涙が出てしまう。

 振り返ってみて、私は結構泣き虫であることがわかりました。誰かが言ってました。泣くって悪いことではないらしいと。
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