第31話 ブランクに完敗

文字数 929文字

 2年ぶりに幼馴染と会いました。車で30分ほどの距離に住む彼女は、私よりも随分前からゴルフをやっています。ランチのつもりで会うことになっていたはずですが……

 久しぶりにあった彼女の髪は、短めのカーリーにブルーグレーのヘアカラー。少し印象が変わった。2年でも案外人は変わるものだ。私もウェーブのかかった髪だったのが、市松人形のようなストレートになったのだから。彼女はランチの後ショートホールでゴルフをしようと誘ってくれた。

 とりあえずウチの駐車場へ彼女の車を停め、私の車で出発。ゴルフ場へ行くナビは入れたが、食事の店が決まっていない。彼女が走行中の助手席で必死にググってくれた先は、少し怪しげなタイ料理の店だった。

「ココ評価が4以上付いてる。だけど入るの少し勇気いるかも……」と彼女。

 確かに。三件長屋の右端がその店。お世辞にもお洒落な外観とは言い難かったが、店の前には消毒スタンド、ドアの横にはコロナ対策認証済のポスターが貼ってあった。意外(大変失礼)。中には4人掛けのテーブルが5つほど。客がいた。しかも何人も。たまたま1つ空いていたので着席。メニューの品数は少なかったが、写真を見るからに美味しそうなラインナップ。私はトムヤムクンスープがメインのランチ、彼女はワンタンヌードル。評価通りの味だった。

 食後、15分ほどの車を走らせ、ゴルフ場へ。『え?ここ?』畑の延長上にあるようなクラブハウスに入り、スコアカードに名前を記入。1ラウンド6ホール。しかも長い所で130ヤード。アイアンを1回振ればグリーンに乗る(上手い人は)はず。なんのなんの。木々で圧迫感のある打席は思ったスイングが出来ず、第1打からダフる。彼女は10年ほどブランクがあって、久々のゴルフ。何度か素振りをしての第1打。

パッカーン!

綺麗な弧を描いた球は、グリーン側に落ちた。『えー私の練習はなんだったの?』心で大泣きした。それからの当たりもボロボロ。最後まで立て直せなかった。ゴルフはメンタルだとよく聞く。技術が出来ていないのにメンタルのことを気にする立場ではないが、私の場合は焦る気持ちからの脱却が課題となったラウンドだった。

 平常心を保つ。ゴルフに限らず、何でもそれが必要だと思うのです。
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