第41話 苦リスマスツリー

文字数 950文字

 今年のハロウィンは、随分賑やかでしたね。コロナ禍終了〜って感じで。若者たち、良かったね。だけど油断は禁物ですよ、気をつけて。誰のためでもないの。あなたが若さを楽しむために、ご自愛くださいね。

 若いからこそ、楽しめるイベントは結構多い。でも『いのち短し恋せよ少女(おとめ)』と昔から言うではないか。その貴重な時間をコロナに取られるのはあんまりだと、オバちゃんは思う。私が20代のころはバブルの絶頂期。高価な品々を普通のOLでも身につけられるような時代。時代のせいでもあるけど、それよりも若者と呼ばれたときのアレコレは、何をやってもイベントみたいで楽しかったのだよ。だから、若さを味わうためにもコロナの終息を願わずにはいられない。

 ハロウィンも終われば、巷はクリスマス一色。未だ片付けが続いている私だが、昨日『触らずのエリア』とも言える場所に着手した。出てきたのはクリスマスツリーを始めとする、赤や緑のオーナメントとかオブジェやら……今は亡き愛兎がツリーをかじるとの不届きが判明した翌年から、クリスマスツリーは封印された。

 このツリー。実は幼馴染からの借り物。大きすぎて持て余していたところ、我が家の新築とほぼ同時期にやってきた。ウチのリビングの天井は高い所で4メートル以上ある。そこそこ高い物がきても大丈夫だということと、子どもたちが幼かったので喜ぶだろうということが大義名分だが、実は幼馴染の家も猫がイタズラをして飾れなくなったという事情を抱えての流れ。

 それでも兎を飼う前は、楽しませてもらった。子どもも兎も居なくなった今、会話の少ない夫婦の糸口になるとは思えないので、約20年ぶりの返還を決めた。幼馴染はすっかり忘れていたようでだったが

「とりあえず、引き取るよ」

と言ってくれた。悲しいかなツリーの行く先は、永遠のお別れかもと感じられたが、そこは私の出る幕ではない。

 実家からプレゼントしてもらったクリスマス・グッズもシミが入ってしまった物は処分。残した物は、手作りのリースと小さなオブジェを数点。オブジェは玄関とリビングの壁とトイレに。そしてリースは玄関ドアに収まった。

 玄関ドアにリース用のフックが無いので、夫に釣り糸でさげてもらいました。こういう細かい作業は私では無理。最初から夫を当てにしています。


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