第19話 ひとり暮らし・9日目ー④

文字数 946文字

 大丸百貨店で、少し散策を……のつもりでしたが、買ってしまいました。ゴルフシューズ。何もここで買わなくてもと思いましたが、私は『出合い』を大切にする人なんです。(んな、大袈裟な)

 幼馴染のAちゃんとは、新大阪駅で待ち合わせ。見送りもしたいからということで新幹線の駅にした。先に着いたのは私。すぐさま、朝の

屋へ。目星を付けた6個ほどを爆?買い。程なくAちゃんから少し早目に着けそうだとLINEがきた。前回会ったのは5年ほど前のことか。わかるかな?Aちゃんに私の服装の色を送信。私はAちゃんが乗ってくるであろうホームの近くで待つことにした。

 構内の人混みは、電車が着いては途切れ、その度に私はAちゃんを探した。 何度か繰り返し、人混みの先にAちゃん発見。と言うより私の格好を見つけたAちゃんと目が合ったと言う方が正しい。変わらない。相変わらず若々しい。昔の面影も話し方も。私はAちゃんの大阪弁が好きだ。新大阪の構内で唯一食事して話ができそうな喫茶店を見つけ入った。Aちゃんはロコモコ丼、私はカルボナーラ。ふたりともレモンスカッシュを付けた。

 食べては、マスクをして話すの繰り返し。終始笑顔は当たり前。お互いの近況や家族の話、Aちゃんの職場のおばちゃんの話。私たちも大概のおばちゃんだが、Aちゃんの職場には私たちがおばちゃんと言ってもいいお年の人もいるらしい。大阪のおばちゃんは、一挙手一投足が面白い。いや、おもろい。それを大阪弁バリバリのAちゃんが話すと吉本新喜劇だ。

 話は、お互いの健康のことになった。私が大病を患ったことを知っているのはごく僅かだ。もちろんAちゃんも知らない。でも、私はこのときにAちゃんには悪いと思ったが、なぜか伝えておきたくなった。凄く驚かれたが、私たちの歳までくれば決して珍しいことでもないので「細く長く生きればいいやん」と言ってくれた。私もそう思う。淡々と生きて、ときどき楽しいことを作って。次に会う約束はしなかった。でも、この先も何度か会える気がした。

 こうして、ONE DAY TRIPは終わりました。天候にも恵まれ、幼馴染とも再会でき。突然の思いつきにしては、上出来です。ただ、帰りの手土産を買いすぎたため、ゴルフシューズは余分だったなと思うことを除けば。
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