第9話 ひとり暮らし・3日目

文字数 936文字

 ご近所の金木犀が香りを放っています。夜の方が、香りが強い気がします。ひとり暮らし・3日目。もう2日も経ってしまいました。変わらぬ日常に自分のことながら呆れています。

 24時間、まるまる自由な筈なのに、羽目を外せない私。実に情けない。今日は午前中に太極拳のレッスンがあった。1回くらい休めばいいとは思うが、休んだ時間を使うアテが見つからなかった。一気に大胆な行動に出るとなると1日では足りない気がする。明日はゴルフのラウンドだ。前日の今日は無理しちゃいけない。もうひとりの私が言っている。

 昨日の夕方、夫が家族LINEに送信してきた。私への連絡と言うより、離れて暮らす子どもたちへのメッセージっぽい内容。一番札所の前に立った写真も送られてきた。ポロシャツの上にお遍路の白衣(はくえ)と呼ばれるちゃんちゃんこみたいなのを着て満面の笑顔。そりゃ、そうだろ、私も笑顔の真っ最中だ。子どもたちも気を使ってか、きちんと返信。

上の子・「元気そうでなにより」
下の子・猫のイラストでグッドのサイン

 そして今夜もLINEがきた。今度は猫ばかりの写真4枚と、猫の解説。夫は無類の猫好き。子どもたちにも遺伝子として受け継がれている。だから猫の写真。今後も行く先々で遭遇すれば送ってくるだろう。楽しそうね。ふふふっ、私も楽しい。

 相変わらずの太極拳。型はなんとなく覚えたが、近頃は「筋肉を使わなーい」と毎回注意を受ける。わからん、わからん、わからん。力を抜くってどうやればいいのか。私の太極拳は先生の目にはガチガチに見えるらしい。なんでなのー?太極拳を終えたときの私の手は冷たい。先生曰く、それが力を抜いていない証拠。一緒にレッスンをしているおばさまに「今日の手はどう?」と握られた。おばさまの手はポカポカ。私から見たらそんなに動いてやってらっしゃらない人なのに……解せない。

 その後、近くのショッピングモールで明日のおやつを物色。以前ラウンドしたときに一緒に廻った人からお菓子をいただいた。どうやらお菓子交換が暗黙のルールのようなので従う。経験浅き者は、とりあえず右に(なら)えだ。ゴルフじゃなくても。

 ひとり暮らし3日目。想像していたワクワク感が薄いです。あっという間に後半戦に突入だーってなりませんように。

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