第53話 ついに転職?

文字数 939文字

 平日の夕方、下の子からLINEがきていることに気づきました。送ってきた時間は、お昼過ぎ。仕事の合間に送ってきた内容とは……

「もう少し様子をみようかと思っていたけど、12月で会社、辞める」

 前々から、愚痴をこぼしていた。それは、その場の単なる愚痴だと思っていた。愚痴の数がだんだん増えてきた。上司と会社の方針が噛み合わず、理不尽な仕事が多いと。私が思うに、個別の問題というよりも、総合的な問題だった。

 現在、下の子は東京にいる。それは幼いころから願っていた場所。小学校低学年のとき、フジテレビへ遊びに行った。施設の最後に寄ったのはテレビ番組のキャラクター商品が並ぶお土産コーナー。品定めをしているとき、ふと

「ここで働きたいな」

 当時はテレビ局で働きたいとばかり思っていたが、成長するにつれ、それは少し意味が違うことがわかった。遠出を自由にできるようになった高校生のころ

「S(親友)と東京へ遊びに行ってくる」

 新幹線で日帰りで。何処へ行ったか。荒川の河川敷。そして山手線に乗りグルグル。帰宅後、観光地でもない行き先を聞いて驚いた。それに付き合った親友は満足したのか?後に分かることだが、Sも東京で就職している。親友になったのは感性が似ていたからか。ふたりは東京という街が好きだったらしい。そして就職。

 下の子は就活の段階では東京へ行くつもりはなく、地元が本社となる会社が多かった。唯一と言っていいほど、今の会社は例外で希望は地元の支社だった。思えば、今の会社は2次試験の通過の知らせが、人事の不手際で連絡されず、あまりにも遅い合否にこちらから問い合わせ、事の次第が発覚した。その後は驚くほど早く内定された。このときに会社を疑うべきだったか?会社は、ほぼ全国に拠点がある。本社は東京。研修中にウチの子は呼ばれ、いち早く本社勤務が決まり、周りの同期に気を使ったと言っていた。本人が望んだわけではなかったが、下の子は東京での生活を手に入れた。

 就職して4年目。中堅手前の時期に辞めることになる。これまでの働き方を知っている私は「辞めるな」とは言えない。石の上にも三年。充分頑張ったと思う。親バカと言われようとも、我が子の行く末は、拓けて行くものと信じている。

今は円満退社を願うのみです。



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