第55話 堕落じゃない

文字数 880文字

 上の子が自立し、夫婦だけの生活になって早1年。少しずつですが、落ち着いてきたなと思う今日このごろです。

 以前にも書いたが、ウチは朝昼食はセルフ。つまり、私は夫の物を作らない。だから晩御飯は、なるべく手を抜かずにと作ってきた。だが、ここにきて私の料理に変化が。最近は時間をかけての手作りから、素材を重視したレトルトや、冷凍食品、缶詰、その類のお助けお(かず)を探すようになった。言い訳がましいが、もちろん調理の一部で使うために。

 重宝しているのは、野菜が高い時の冷凍食品。リピートはインゲン豆、アスパラガス、ブロッコリー、煮物用に使える根菜類。この歳になり、手軽さと便利さを知った。味はどうか?私はこの点が気になり、今まで使ってこなかった。でも、いざ使い始めると、心配するほどでもない。むしろ、皮を剥くこともなく、下処理もしなくてもいいとなれば、使い方次第で時短になることがわかってきた。

 2人分の食材は、買いづらい。小分けされているものにも目を向けていたが、割高でよく躊躇した。ところが、少しずつ自分の考え方が変わってきた。それは『割高でも、たくさん買うより、小分けの方が価格が安い』『割安で大量に買った食材を結果的には使い切れず、廃棄して心が痛む』これらのことを素直に受け止め、現実的な対応をしようと思えるようになってきた。贅沢食材を使うわけではない。月々に決まった範囲内で買い方を変えただけだ。

 今までは、週に一度の買物でなるべく調理できるようにしていた。これはこれで、時間とガソリン代の節約にはなる。だが以前に比べ、私の自由な時間は増えた。それに毎日のように車を使うような予定もない。夫の定年を境に時間の流れが変わってきた。

 変えたくないのは、これからも晩御飯は作り続けていきたいということ。私たち夫婦唯一の会話の糸口になる時間と場所になっているから。

 下ごしらえの時間は馬鹿にできません。洗って切って茹でて……私はキッチンに2時間くらい立っているのが常で、体調的にもキツくなってきました。少しずつ美味しいお助け食材を見つけて、我が家の味にしていきたいです。
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