第12話 悪魔的旅路
文字数 1,022文字
街道にて――
ああ、もうっ！
あなたも戦いなさいよね、ロイズ！
この体は戦闘に不向きなんだよ。
魔法使えるじゃない！ 王都を出てからずっと私ばっかり戦ってるのよ！
ララミも戦ってるだろう？
……そうね、
あなたの身を守るためだけにね！
オレは魔法を使うと寿命が10年ぢぢむ奇病なんだ。
（お兄ちゃん……）
（――寿命はともかく、戦闘向きじゃないのは本当だぞ？ この人間の体だと、【フレア】に換算すれば１日に３発くらいが限度だな）
（それ以上は疲れる）
（……お兄ちゃん）
ロイズ！
そのうさぎのぬいぐるみを動かしてるのも魔力なんでしょう？ だったら――
チョット黙ッテロヨ、コノ泥棒猫。
っ～～～！
だからなんで私にだけ片言なのよ、その腹話術！
そして殺気！ 包丁も危ない！
なお、ララミは戦闘中も、事あるごとにガザリアの背中を切りつけていたりする。
――いやいやガザリア。お前も勇者なんだろ？ 王都付近のモンスターごときで息あがってんじゃねーよ。
そっくりそのまま返すわ！
……それに寄って来るモンスター、どれもこれも見たことないし、無駄にしぶといヤツばかりなのよ。
これは魔王の……悪魔の使い魔たちね。どうしてこんなに――
………。
…………。
あっ。またその悪魔スマホとかいうやつ！ 人が話している途中でしょう！
待て、これからイベントなんだ。お前に構っている暇はない。
ほ、ほら、歩きながらは危ないってば！ そこ、石あるからこっち歩きなさいよ！
その際、腕を胸にぎゅっと押し当ててしまっているが、本人は気づいていない。ロイズが少しだけ良い思いをするのと、ララミのヘイトが貯まるだけである。
第一、お前はオレの下僕になると約束しただろ？ なら文句言わずに働け。
違うわよ！
私が約束したのは――その――け、結婚っていう……
愛する妻よ姫騎士よ、愛しのダーリンのために頑張っておくれ。
棒！ かつてないほどの棒読み！ そんでまた包丁!! 投げるなっ！
……はぁ。
意味分かんない。
ガザリアはがっくりと肩を落とす。
このままじゃ過労死する……。
カローシ！
ひゃあっ！
『過労死』という単語を聞きつけ、社魔の使い魔が目を輝かせて飛び出してきた！
ああもうっ、キリがないっ！
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そうして街道を進むことしばし。ガザリアは前方に何かを見つけた。
あれは……箱？
箱の中に……
…………。
女の子？？
