第14話 悪魔的いかずち
文字数 1,197文字
少女レニを振り払えないまま街道を進むと――またしても使い魔が現れた!
群れだ!
ロイズたちを包囲し、じりじりとその輪を狭めてくる。
ため息ひとつ、レニは緩慢な動きでようやくロイズから離れた。
ガザリアはすでに使い魔との戦闘に入っている――いま、2匹目を切り伏せた。
使い魔は両断され、灰となって風に流れる。
前衛のガザリアが離れた隙に、他の使い魔がロイズたちに群がる。
ガザリアを除けば近接戦闘が出来るのはララミだけだ。
しかしそのララミも、使い魔が相手ではリーチと攻撃力の点で大きく劣る。うさぎ天使の手足は短いのである。
それでもなんとか1匹の使い魔を食い止めているが、この数ではロイズを守りきれない。
ロイズは焦れてレニを見やる。
――と、少女は小刻みに震えていた。
レニはあくまで無表情だ。
ただ首から下を震わせ、立ち尽くしている。
使い魔が飛びかかってくる!
やむなくロイズが対処しようとした瞬間、レニがつぶやいた。
少女の両手から雷光がほとばしる!
電撃が周囲の使い魔たちを直撃した。
2匹を仕留め、残りの3匹が動けなくなる。
前方の敵を片づけたガザリアが、取って返す刃でその3匹も斬りたおした。
ガザリアは息を弾ませ、
どうにか使い魔の群れを撃退し、ロイズは安堵のため息を漏らす。
兄に密着する少女に嫉妬を覚えるララミではあったが、一方で、ダメな兄妹が増えてどこか微笑ましいような、そんな微妙な気分もしている。
そう――兄はクズだがロリコンではないのだ。
ララミの真の敵は金髪の姫騎士なのである。
ララミは先ほどの戦闘を思い出す。
なんだろう――レニには、言いしれない違和感が漂っていたような。
少女のつぶやいた言葉を思い返し、ララミは首をひねるのだった。