第42話 悪魔的飲料
文字数 1,293文字
――――！
…………。
ふふ、レニ。
こんなに口のまわりを汚して。パパ、お行儀の悪い子はきらいだゾ☆
？？
ほら、拭いてやるから顔を出せ～。
ん。（なすがまま）
ははは、世話のかかる子だなぁ。
き、聞きなさいってば！
……はあ。
何を言い出すかと思ったら。
おまえが足でまとい？ だから何だよ。
あなたは気づいてないでしょうけど――
…………。
このパーティーの最大戦力はレニ。これは順当でしょう。スタミナにやや不安があるものの、瞬間的な攻撃力では勇者をも上回るわ！
そして不本意ながらロイズ……あなたはグータラで甲斐性なしで、目つき悪くて姿勢も悪いけれど――
オイ。
悪魔の姿に戻れば、さすがにまあまあの強さです。
だからオイて。
そしてララミちゃん。
うさぎのぬいぐるみ。出刃包丁の二刀流という貧弱装備でありながら、時に見せる漆黒の魔力は脅威でした。
……が！
あのカジノで強力なボディーガードを手中に収め、一気に戦力ランキング上位に！
…………。
そしてランキング下位は、この私だけ！
なんと哀れなんでしょうこの私！
あはは、あーーっはっはっはっはっは！
こいつ――
あっ！
お兄ちゃんワイン！ ガザリアさん、ワイン飲んでるよ！
酒癖悪いな。
……いや、悪いのかコレ。
はおふあ、ふぁふぁふぁふま。
まずはごっくんしてからしゃべろうな、レニ。
（ごっくし）
ガザリアママは、やけ酒？
かもな。
生真面目なやつほど溜め込むって言うしな。
普段から気にしてたんだね……。
なので！
……なので？
私のためのパワーアップアイテムを手に入れます！
手に入れなさい！
はあ？
この宿場町から西へ行ったところに、ワーバ遺跡があります！
そこにはかつての英雄が用いた聖剣があるという噂！
私たちはそこを目指すのよ！
『たち』って――
なによロイズ！
私の言うことが聞けないの！？
行くのよ、行きなさい！
一人で行ってこいよ、めんどくせぇ。
っ！！？
しょ、しょんな……ひ、ひどい……
う、うぇえええええええ～～！
急に泣き上戸！
泣ーかした。
うおっ、うおっ、うおおおおおおおおん！
なんか獣みたいに……。
って、おい、足にすがりつくな！
おまえ仮にも旧王家の人間なんだろ！
いやぁあああああ！
言うこと聞くから、あなたのいやらしい要求も、ちゃんと聞きますからぁあああああ！
したことねーだろ！
あるわよ！
初めての日……裸甲冑を強要したくせにぃいいい！
おい、ちょ、待て。
他の客の目が……
…………。
（青ざめている）
…………。
（蔑んだ目をしている）
違うぞ、いや、違わないけど違うぞ。
――つーかララミ、おまえもあの場に居ただろうが！
……分かりました。
２階へ行きましょう。
は？
まだ食事の途中――
あなたの悪魔的なプレイ、全身全霊で受けて差し上げます！
さあ！ さあ！！
めんどくせぇぞこの酔っ払い！
～～っ。
くそ、分かったよ、行ってやる！
その何とか遺跡ってやつに！
代わりに、そこで見つけたお宝は全部オレがもらうからな！
ロイズ！！
そうよ、初めから素直にそう言いなさいよ！
おーっほっほっほっほっ…………ほ。
あ、倒れた。
………………。
こいつ、このままこの町に置き去りにするか？
…………。
…………。
ほんの少しだけ、邪な考えが横切った一行であった。
