第22話 悪魔的ススメ
文字数 1,949文字
ロイズはカジノ内を探して回った。
10階建てのうち、3階までは客が自由に行き来できるフロアになっていたが、そのどこにもララミたちを見つけることはできなかった。
他の連中を置いて退散する――
その選択肢が自分にとって――悪魔にとっては妥当だと思いつつも、実行には移せずにいる。
4階に続く階段には、明らかに『力仕事』向きの男性スタッフ――おそらく女性スタッフ同様に使い魔だろう――が立っている。暴力で押し通るには少々厄介だ。
胸中でつぶやいて、ロイズはカジノの天井を見上げた。
・・・・・・
悪魔カジノ6階フロアの石床で、ララミは目覚めた。
ぼんやりと周囲を確認する。
自分の背中を支えているカジノのスタッフと、他に数名の男性スタッフ。
それから――
兄の同期悪魔・フィオナがねっとりとした微笑を浮かべて見下ろしている。
ララミは、フラフラと立ち上がる。
そこではたと気づく。
ロイズの上司であるシェリーの魔法で擬態していたうさぎ天使のぬいぐるみ――その仮の姿から、元の悪魔女子中学生に戻っていた。
しかも、
バニーガール!
うさ耳をつけ、肩を剥き出しにした悪魔JC。脚にはもちろん網タイツだ。
肩を抱き、床にぺたんと座り込む。
ふふ、このくらいで照れちゃって、可愛い♥
――あ、魔法を使おうとしても無駄だよ。正確には『元の姿』じゃない。シェリー課長の擬態魔法は解けていない……単に、『元の姿を模した変身』で、外見を変えてるだけだから。
あっちの姿じゃあ、雰囲気出ないでしょ?♥
涙目でララミは睨みつける。
フィオナの言う通り、王都を出てから、普通では考えられないほど使い魔の追求はしつこかった。
フィオナが空中で指をスイッと滑らせると、そこに光る小窓が現れ、ガザリアがルーレットに向かっている姿が映し出された。
・・・・・・
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びくりと背筋が跳ねた。フィオナが背後に回り、その両腕をするりとララミの首に絡みつかせてくる。
フィオナはララミの耳元で怪しく笑う。