第59話 悪魔的絶叫
文字数 2,748文字
突然の騒ぎのなか、重傷を負った奥太郎のもとにはベンド商会所属のスタッフが駆けより、簡易な治癒魔法をほどこしていた。
シノゥはそのかたわらに
ロイズが近づいていくと、他のスタッフに指示を飛ばしていたエンディがこちらに気づいて振り向く。
よろよろと体を起こす奥太郎をシノゥが支えた。
ロイズとエンディの視線を受けてガザリアが戸惑う。彼女の手にはまだ聖剣WLBが握られているのだ。
ベンド商会のスタッフたちは避難誘導などの事後処理に
それにもともと、彼らが地下遺跡について深く知っているわけでもない――。
俺たちの手元に残ったのは、古代人が残したその聖櫃――古代の秘密が刻まれた魔法の箱だけ。そいつを商会に引き渡して、俺はこの失態の後片付けに励む。
それに、とシノゥは奥太郎にほほ笑む。
ロイズはガザリアを振り向く。
聖剣の所有者である彼女は、いま現在シノゥのパーティーである。
宿を飛び出してロイズたちとの縁は切った――状態にある。
やさしく
――ガザリアの決心はついている。
だが、言葉にできずにシノゥとロイズの顔を見比べている。
それでもようやく覚悟を決め、ガザリアは大きく息を吐いてからロイズに向き直った。
ほほ笑むシノゥと別れ、ロイズ、ララミ、ガザリアの3人は一路、カララ温泉へと向かう――。
彼らを乗せた馬車が街道を行く。
危機を脱するために仕方なくだ。
……まあ、弾けるような弾力と先端の余韻はしばらくこの手に……ってオイ! ちょっと待て。鞭を構えるな。それマジで痛いから!
――ララミ! おまえも包丁取り出すな!
カララ温泉へ向かう街道で、悪魔の悲鳴と鞭の音が高らかに響きわたるのであった。
◆ガザリアは聖剣ワークライフバランスを手に入れた!
◆ガザリアがふたたび仲間になった!
(第2部 完)
(第3部につづく!)