第58話 悪魔的略奪
文字数 1,418文字
砕けた天井――そのはるか上空から、稲妻が振り落ちる。悪魔化したロイズは全身でそれを受けて、
殺到する小型ドラゴンへと照準を定めて根源魔法を展開する。
黒い円盤状の魔力が床を埋め尽くす。
転瞬、無数のそれはロイズを中心に、ひとつの巨大な渦に変わる。
竜の群れのみならず、一行をも巻き込んでロイズの魔法は怠惰の沼へと引きずり込む。
モンスターの脅威は去ったが、このままでは生き埋めである。
ロイズが顔をあげて、崩れた天井のすき間から青空を仰ぎ見たそのとき、
ララミの使い魔ガーゴイルたちが、ロイズと気の抜けた4人をつかみ、地上まで一気に待避した。
大の字に倒れてロイズはぼやく。
地上では、突然の落盤でパニックになっていたが、どうやら死傷者などは出なかったらしい。親子向けの巨大迷路イベントはもう終わっていて、すでに直上に人はいなかったようだ。
ジグを呑み込んだ巨竜の姿も見えない。
体を起こしてロイズは、満身創痍の遺跡メンバーを見やって、面倒そうにつぶやいた。