第26話 悪魔的告白
文字数 1,887文字
ミストアがロイズの――グリシュタッド家の事情を事細かに知っているということは、例の悪魔人事課の職員が、その記録を作成し、保管していたということなのだろう。
ロイズ先輩は妹を孤独にさせないために怠惰を演じ続けた……
勤勉で真面目だった生活を、いえ、性格をねじ曲げてまで非悪魔的な行為を避け、ひたすらに悪魔的に生きて来た。
その結果が今のロイズ先輩、というワケですね?
意地悪くほほ笑んで、ミストアは視線をずらす。
はっとして振り向くと、そこには妹悪魔が立っていた。
――ただし、扇情的なバニーガール姿で。
もじもじと胸元を隠しながらララミは、
うつむき、小さく震える妹にロイズが声をかけようとした、そのとき。
ララミが、がしっとロイズの手首をつかんだ。
営業スマイルのミストアを残し、ロイズはララミに手を引かれて上り階段へと連れて行かれる。
4階フロアから5階フロアへ――ララミがドアを開けたその空間は、厳密には中二階というか、4階と6階のあいだに作られたごくわずかなスペースだった。
壁の一面は総ガラス張りになっており、VIP専用である4階フロアを見渡すことができる。下に居たときには気づかなかった――ということは、これはマジックミラーだろうか。
きらびやかな4階と比べ、二人きりのこの部屋は薄暗く、ほのかに焚かれた香のかおりがする――
ララミは乱暴とも言える勢いで、ロイズをソファに放る。革張りのソファに、ロイズは仰向けに倒れた。
バニーガールのララミが、ロイズを跨いでのしかかってきた。胸板に頬をすり寄せ、甘ったるい声を漏らす。
細くて白い指がロイズの胸を這った。
気づけばシャツのボタンを滑らかな手つきで外し、指を地肌へと滑らせてくる。
両手を滑らせ、ララミはロイズのシャツを剥ぐ。
ロイズはもう抵抗をやめていた。
そして――
そして。
ロイズはゆっくりと左手を持ち上げ、ララミの髪を撫でつける。
うっとりとして眼を閉じるララミへ――
彼女のこめかみへと――
ずぶり、と、指を突っ込んだ。