第41話 悪魔的指摘
文字数 1,023文字
ガザリアが突然声を張り上げたのは、宿の1階、酒場で夕食をとっている最中のことだった。
アーヴの街で2匹の悪魔を撃退したロイズたち一行は、魔王城に向けてさらに前進していた。
旅の道中では、レアな鉱石を拾って売ったり、商隊(キャラバン)の用心棒を請け負ったりして路銀を稼いだ。そのため、安宿に泊まるくらいの余裕はできたし、こうして、それなりの食事にもありつけている。
難点は数あれど、なんだかんだと戦力の高いパーティーである。あれから後は魔王直属の部下に襲われることもなかった。比較的、楽な旅路だったといえるだろう。
そうして今日の昼過ぎ、この小さな街にたどり着き、ここに宿を定めた。2階の部屋で荷をほどき、1階の酒場で丸テーブルを囲んで夕食に興じていた――そのときのことなのである。
ガザリアは皿を持ち上げて、ロイズの手から遠ざける。
言って、ララミは横目でレニを見る。
レニは料理に夢中だ。皿に顔から突っ込んで、ほとんど野犬の風情である。
実のところ、この大食漢がもっと自制してくれれば旅の予算にもかなりの余裕が生じるのだが、ララミが指摘したように、その大部分をレニが稼いでいるため誰も文句を言えずにいる。稼ぎ頭は強い。
ガザリアは自信満々に言い切った。