第27話 悪魔的兄妹
文字数 1,732文字
ロイズの人差し指は、その第二関節までララミのこめかみに突き刺さっている。
全身をガクガクと震わせる少女の両眼は、焦点が合わずに宙をさまよう。
ララミの体から力が抜ける。ロイズは左手の指を引き抜くと、彼女のことを押しのけた。
ララミの様子が――彼女のまとう空気が、じわりと変化する。
ぐったりとソファにもたれかかって少女は、かすかに口元だけで笑う。
そうだな、レニももう少し育てばオレを背負えるようになるだろう。いや、今でもあの豪傑なら出来るだろうが――さすがに絵面がな。カッコ悪すぎる。
今のうちに恩を売っておいて、オレのパシリとして、足として、さんざんこき使ってやるさ……!
そんな、拳まで握って決意表明されても。
……先輩って、『怠惰を演じている』うちにガチで怠け者になっちゃったんでしょうねぇ。『狂人を真似ればすなわち狂人』、とか何とか言いますもんね。
――ふふ、そうか。
それでコレなんですね? 先輩の魔法は。
フィオナは気だるげにソファに寄りかかり、ロイズを見あげる。
まさか先輩が『根源魔法』を使えるなんて。上級悪魔並みじゃないですか。
『怠惰』を根源にした魔法――。『触れる』のがその発動条件ですか? 規模は小さいですけど、恐ろしいですね。ヤル気がほとんど起きませんよ。
で・も・♥
だからこそ燃えるってもんです。私は寝取るのが得意ですから――っていうか大好きなんです、寝取るのが。
シスコンのロイズ先輩を、妹さんの目の前で、私にメロメロにしちゃいたいです。ねっとりじっくりと嬲って、堕としちゃいたいです。先輩はアヘ顔ダブルピースです。
ようやく回復してきたらしい彼女は、くすくすと屈託なく笑う。
そして人差し指を立て、天井を指し示す。
悪魔はイタズラっぽく笑って、そう言った。