第123話 敵

文字数 545文字

北京での百カ国の集まりに
アメリカもロシアも呼ばれているが、
呼ばれていない国がある。
そこの住民はそのことを、メディアが報じないから知らない。
そこのメディアは、政権担当能力の欠如に関する事は、忖度して報じない。
メディアは注がれる公金で喰う広報で、ジャーナリズムではない。
だから住民の多くはまだ、自分の国が世界で二番目か三番目の大国で、
自分達は世界の真中にいると思っている。
自分の国が今もなお連合国の仮想敵国であり、欧州連合やNATOにも勿論入れない、BRICSにも入れない、
世界で唯一無二の、はみ出し者であることを知らない。

国民の前では、世界の中心で上手くやっている風を見せる。
政権担当能力を疑われないように。
他国の軍隊に國土の全てを開放し、言われるがままに他国の国債という上納金を捧げる。
自国内に使うべき税金を手当たり次第にばら撒く。
無作為に難民移民を受け入れて、手厚い奨学金で留学生を歓待して、勘弁してもらっている。
そしてそういう事をするから、更に軽んじられることに気付かない。
だから、国内が此処まで疲弊するのも、当然だ。

世界の冷厳な現実から目を背け、自分の周りの御花畠を詠むことが、文学のはずがない。
小さな田舎で、忖度の自称詩人に自足する者に、パリ五輪の開会式の意味は、永遠に分からない。
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