第61話 暦

文字数 332文字

誰かが決めた方針で、安く持たされた端末の
子供騙しのコンテンツに浸かって
あとは仕事へ行く時間が分かれば、事足れりとする

月を観てもその意味がわからず
唯の納税する肉に過ぎないことを
自覚する事もできず

隣の人間の共感などを得ても
何にも成らない事を知らぬまま
天文学を詩人のロマン位に思っている

古代世界のファラオや皇帝は
天文の知識から暦を作り
農業生産を監理し、集団を支配した

自分の時を奪う無料ゲームを投げ出し
夜独りで大地に立って、空を眺め
星辰の運行や月の変化の意味を理解する事は 
忘れさせられた自分を取り戻し
メダルなんかをもらう喜びとは比べることもできない
自分だけの本当の感動を手に入れる、第一歩になる

曜日の感覚や季節を感じる事は
人間が人間らしく生きるための 大きな条件のはずだ

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