第57話 詩

文字数 394文字

短歌や俳句は詩か、と問う者がときにいる。
問うのは勝手だし、詩であるとするも自由だが、勿論詩ではない。
ホメーロスやホラーティウスの精神を継承するものではないからだ。
其れ等は、西欧の詩と比較する程のものではないというのが筆者の立場だが、
並べて論じたいと言うのであれば、其れ等は精々、上辺を真似ただけの擬物だということになる。
措辞だけの言葉遊びが殆どだ。
萬葉集が中国の種本をなぞって生まれた事を考えれば、それらは漢詩を継承したものではないか、
というのも無理がある。
漢詩は政治を抜きにしては、あり得ない。政治そのものである。

一部の者が、例えばプロレタリア小説などというカテゴリーを作って、
自分らに都合の悪いテキストを皆そこに放り込み、
世の中から上手に遠ざけてみせた。
そうした社会の動向に疑義を呈することも無く、唯々諾々と従うレベルの感性で、
詩を解かろう筈がない。
書くものが、詩であろうはずはない。
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