第39話 終局

文字数 450文字

 米が今年七割値上がりしたので、パンや麺類に切り替へてゆかうと思ふ。
 添加物だらけのインスタントものなど食べたくはないが、貧しい三級市民だから贅沢は敵だ。
 此の辺は昔から、現役の役目を終へたら、補給を絶たれて見棄てられる土地柄なのだ。
 五十年前、十代で工場のアルバイトをしたときの時給が千円だつた。
 それからバイトの時給は今まで全く上がらなかつた。
 これが何を意味するのか、もしこの国に経済学に詳しい人がゐるといふのなら説明してくれ。
 目眩ましの情報ばかり溢れて、肝心の声がもう聞こえない。

 いつの間にか国の政治が、一部の者の利益のために行はれるやうに成つた。
 納税さへ上がつてくるなら、移民、外国人で代替すればそれで構はないといふことだらう。
 これまでの貢献など知つたものかは、民などは、持たせたカードの番号の一つに過ぎない。

 美しいとか反日だとか揉めてゐる内に、中身がすつかり入れ替はつてゐたのだ。
 金目当ての操り人形達を相手にしても仕方が無い。

 旧仮名で歌の一つも詠めずに
 何を云はんといふのだ
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