第70話 ディストピアの完成

文字数 293文字

受験や就活では、広く人に共感する能力などは求められなかったから、
上役に忖度だけすれば生きていかれる便利な世の中になった。

昔は、恥ずかしい真似をすると、
世間に顔向けが出来ない、という感覚があったが、
今はそれも無いようだ。
世間など、緊急事態条項をちらつかせて、黙らせてしまえば良いということだろう。
いや既に、さっさと進んで忖度をして、ほとんど黙り込んでいるか。

あとは広く深く永く掬い取って、
安穏と暮せばいいだけだ。

あちらにとってのディストピアは、
そちらにとっての天国だ。
勿論其処には、地上の、という限定詞が付くけれど。

私も もう年だ
こうしてディストピアの完成を 外から眺めているのも
悪くない
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