第一項 本当の始まり

文字数 512文字

 それはとても美しくて、雄大なモノでした。”神の遣い”、そんな言葉が似合う、畏怖の念を呼び起こす姿でした。それが今、私たちを殺そうと、立ちはだかっているのです。
 60歳くらいの男性が、若くて美しい、神聖な霊体へと神化したのです。
「まんまと嵌ってくれたね。こんな中途半端な状況でさ」
そんなモノに、彼は平然と立ち向かいました。
「あんたの宿したプラヴァシー、封印させてもらうよ」
誰もが畏怖するその神聖さに、大いなる天使に、なんの躊躇もなく軽口を叩きます。
 たとえ相手が誰であろうと、彼は戦うのです。誰かを守るために、その命をかけて、不起の精神で立ち向かいます。その相手が今回はたまたま、絶対の正義であり、その象徴であっただけなのです。

 ここで少し、時間を遡ります。え?蓮野さんと天使の戦いを早く見たいって?私もそうしたいです。そうしたいのは山々なんですが、ちょっとの間、我慢してください。だって、経緯がわからないと、お話がちゃんと伝わらないでしょ?それに、楽しみは最後まで取っておくものですよね?それでは、どうしてこんなことになったのか?どれほどの戦いを経て、ここまでたどり着いたのか?それを存分にご堪能ください。
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登場人物紹介

桜苗沙希(さなえさき)(16)

ちょっと天然な、お菓子系の美少女。

パステルカラーがよく似合う。

幼い時に両親が離婚し、心に深い傷を隠し持っている。

それゆえか感受性が強く、不思議な青年、蓮に惹かれてしまう。

蓮野久季(はすのひさき)(21?) 通称:蓮(レン)

その経歴や言動から、とにかく謎の多い青年。

「黒い剣士、銀色の悪魔、ワケあり伊達眼鏡、生きる女難の相」など、いろいろ呼ばれている。

物語の核である、「グラマトン、プラヴァシー、継承者、閉じた輪廻」に密接に関わる、左利きの男。

セト

蓮が利用するアルドナイ(AI)

蓮を「兄サン」と呼び、主に情報収集と相談役として活躍する。

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