第八項 お食事会、再び
文字数 1,801文字
「ったく、冗談じゃないよ」
蓮野さんは疲れきっていました。
「ただでさえ、寝不足だってのに」
「まあまあ、お嬢もご機嫌で帰ったことだし」
「んなこと言ってもさぁ……あ!そうだヤス。よかったら彼女」
「遠慮します」
「そんな遠慮するなよ。俺とお前の仲だろ?」
「いえいえ、お構いなく。謹んで、辞退申し上げます」
「お前、俺がせっかく」
「いえいえ、いくら蓮さんの施しでも、こればっかりは」
「なんだよ?俺が握った寿司が食えねぇってのか?」
何を言っているのかわかりません。でも
「酢死ですか?スシのシの字が、死神になってますよ?」
酸っぱい死ってどんなんでしょう?ヤスさんは平然と、蓮野さんのペースに反撃しています。
「とにかく、一度彼女の」
「あ!塾の時間だ!ソロバンだ!」
「お前は小学生か?」
いつもこんな感じなのでしょうか?2人の残念な漫才が続いています。
「ふぅ……なんか喉が変だな。風邪貰っちゃったかな?」
ひととおりふざけた後、蓮野さんは喉を擦りはじめました。風邪が流行っていますからね。みなさんも体調には気をつけてください。
「ああ、占い館すごい混んでましたもんね。それに電車の中も、マスクしてたり、咳してる人が多かったすもんね」
「うん。まあ、早く帰って温かいもの食べて寝りゃ、すぐに治るだろうけど」
「そうだ蓮さん。これから飲みに行きましょうよ!」
「なんでそうなるんだよ?風邪引いたかもだぜ?」
「だ・か・ら、アルコール消毒するんですよ!それに昨日、給料日でしょ?」
「それが狙いか……」
「家に帰っても、どうせ一人でホカ弁なんでしょ?女子学生と飲み会は無理でも、食事くらいならいいじゃないですか。女の子と一緒ってだけで、料理も旨いし、風邪も治りやすいですって!」
「そんなもんかな?」
「ただでさえ蓮さん、女の子と過ごす時間が少ないんだから」
「あのなぁ、ヒトを孤独な男みたいに言うなよ」
「え?違うんですか?最近誰かと晩飯っていうか、飲みに行ったりしました?」
「もちろんだよ!」
力強く応える蓮野さん。でも
「えっと……いつだったかな」
そう言って、う~んう~ん唸りながら、思い出せないご様子でした。なんだか、昨日の晩御飯を思い出せない、おじいちゃんみたいです。
「あれ?思い出せないんですか?記憶もアルコール消毒しちゃったとか?」
「やかましいわ!ヒトをアル中みたいに言うな」
そして蓮野さんは笑い出し
「仕方ないな。じゃあみんなで薬膳でも食べに行くか」
「やったー!」「さっすが蓮さん!太っ腹」
メグ兄妹が両手を挙げて大喜びです。
「で、薬膳って何食べるんですか?やっぱり中華?」「台湾料理もあるよ?最近流行ってるし」
そんな盛り上がり中のメグとヤスさんに
「あそこのお店なんだけど」
見覚えのある邪悪な笑顔が発動します。
「ミツバチと……タニシと……」
呪いの言霊(メニュー)が音になります。
「あとなんだっけ?あの”虫へん”の漢字でさ」
さあ始めましょう!今回はヤスさんも一緒!4人がかりの命乞いです!
結局私たちは、中華料理店に辿りつけました。オフィスビルにあるお店、雰囲気はおしゃれなレストランって感じです。本格的な中華というより、飲茶が充実している女性客が多めのお店です。
「おいし~い!蓮さん、こっちの飲茶も頼んでいいですか?」
「ああ、いいよ」
「ありがとうございますぅ~」
メグがやっぱり盛り上がっています。
「ふぅ~……旨かった」
食事を終え、のんびりした雰囲気で寛いでいると
「あ、そうだ蓮さん」
ヤスさんがまた、蓮野さんに提案します。
「なんだい?」
「これからブリッジ行きませんか?」
ブリッジ?
「おいおい。明日は土曜日だけど、俺は仕事なんだぜ?」
「いいじゃないですか。ちょっとくらい飲んでも」
「そうもいかないんだよ。また今度な」
蓮野さんは取り合わず、カードでお会計です。
「え~~~……残念だなぁ~」
そんなやりとりを聞いているうちに
「あ、あのぉ~」
どうしても気になって
「ん?なんだい?」
聞いてしまいました。
「ブリッジってなんですか?」
すると二人は明らかにふざけた笑顔になり
「ま、子供には早いかな。な・い・しょ」
と返答しました。成人男子が口元に手を当てて、そんな言葉を口走るのは……残念すぎるデザートでした。
蓮野さんは疲れきっていました。
「ただでさえ、寝不足だってのに」
「まあまあ、お嬢もご機嫌で帰ったことだし」
「んなこと言ってもさぁ……あ!そうだヤス。よかったら彼女」
「遠慮します」
「そんな遠慮するなよ。俺とお前の仲だろ?」
「いえいえ、お構いなく。謹んで、辞退申し上げます」
「お前、俺がせっかく」
「いえいえ、いくら蓮さんの施しでも、こればっかりは」
「なんだよ?俺が握った寿司が食えねぇってのか?」
何を言っているのかわかりません。でも
「酢死ですか?スシのシの字が、死神になってますよ?」
酸っぱい死ってどんなんでしょう?ヤスさんは平然と、蓮野さんのペースに反撃しています。
「とにかく、一度彼女の」
「あ!塾の時間だ!ソロバンだ!」
「お前は小学生か?」
いつもこんな感じなのでしょうか?2人の残念な漫才が続いています。
「ふぅ……なんか喉が変だな。風邪貰っちゃったかな?」
ひととおりふざけた後、蓮野さんは喉を擦りはじめました。風邪が流行っていますからね。みなさんも体調には気をつけてください。
「ああ、占い館すごい混んでましたもんね。それに電車の中も、マスクしてたり、咳してる人が多かったすもんね」
「うん。まあ、早く帰って温かいもの食べて寝りゃ、すぐに治るだろうけど」
「そうだ蓮さん。これから飲みに行きましょうよ!」
「なんでそうなるんだよ?風邪引いたかもだぜ?」
「だ・か・ら、アルコール消毒するんですよ!それに昨日、給料日でしょ?」
「それが狙いか……」
「家に帰っても、どうせ一人でホカ弁なんでしょ?女子学生と飲み会は無理でも、食事くらいならいいじゃないですか。女の子と一緒ってだけで、料理も旨いし、風邪も治りやすいですって!」
「そんなもんかな?」
「ただでさえ蓮さん、女の子と過ごす時間が少ないんだから」
「あのなぁ、ヒトを孤独な男みたいに言うなよ」
「え?違うんですか?最近誰かと晩飯っていうか、飲みに行ったりしました?」
「もちろんだよ!」
力強く応える蓮野さん。でも
「えっと……いつだったかな」
そう言って、う~んう~ん唸りながら、思い出せないご様子でした。なんだか、昨日の晩御飯を思い出せない、おじいちゃんみたいです。
「あれ?思い出せないんですか?記憶もアルコール消毒しちゃったとか?」
「やかましいわ!ヒトをアル中みたいに言うな」
そして蓮野さんは笑い出し
「仕方ないな。じゃあみんなで薬膳でも食べに行くか」
「やったー!」「さっすが蓮さん!太っ腹」
メグ兄妹が両手を挙げて大喜びです。
「で、薬膳って何食べるんですか?やっぱり中華?」「台湾料理もあるよ?最近流行ってるし」
そんな盛り上がり中のメグとヤスさんに
「あそこのお店なんだけど」
見覚えのある邪悪な笑顔が発動します。
「ミツバチと……タニシと……」
呪いの言霊(メニュー)が音になります。
「あとなんだっけ?あの”虫へん”の漢字でさ」
さあ始めましょう!今回はヤスさんも一緒!4人がかりの命乞いです!
結局私たちは、中華料理店に辿りつけました。オフィスビルにあるお店、雰囲気はおしゃれなレストランって感じです。本格的な中華というより、飲茶が充実している女性客が多めのお店です。
「おいし~い!蓮さん、こっちの飲茶も頼んでいいですか?」
「ああ、いいよ」
「ありがとうございますぅ~」
メグがやっぱり盛り上がっています。
「ふぅ~……旨かった」
食事を終え、のんびりした雰囲気で寛いでいると
「あ、そうだ蓮さん」
ヤスさんがまた、蓮野さんに提案します。
「なんだい?」
「これからブリッジ行きませんか?」
ブリッジ?
「おいおい。明日は土曜日だけど、俺は仕事なんだぜ?」
「いいじゃないですか。ちょっとくらい飲んでも」
「そうもいかないんだよ。また今度な」
蓮野さんは取り合わず、カードでお会計です。
「え~~~……残念だなぁ~」
そんなやりとりを聞いているうちに
「あ、あのぉ~」
どうしても気になって
「ん?なんだい?」
聞いてしまいました。
「ブリッジってなんですか?」
すると二人は明らかにふざけた笑顔になり
「ま、子供には早いかな。な・い・しょ」
と返答しました。成人男子が口元に手を当てて、そんな言葉を口走るのは……残念すぎるデザートでした。