第二項 守護精霊さん現る

文字数 610文字

 『汝……因果律……外に在りなが……惹かれ……魔女よ……』
ありきたりな内容でごめんなさい。でも、診察室は大変なことになっています。画面に映し出されたのは、私にソックリな若い女性でした。その女性がノイズ混じりの音声で、魔女とか言っちゃってるんです。明らかにイレギュラー発生で、他のお医者さんたちも集まってきました。
 ただでさえ結果発表を前に緊張度MAXなのに、魔女とか言われてどうしたらいいのやら……私が魔女ですか?物語に出てくる、怖い魔法を使う女性?それとも、魔女狩りで狩られちゃったりすんですか?
『神……の贄……べき少女……兄の犠牲』
兄?私にお兄さんはいませんよ?
『……汝は再び……閉じた……輪廻……』
 そこまで話して、画面から守護精霊さんのお顔が消えました。でも画面には、”Completed”と表示されていて、ブレスレットにアルドナイさんはインストールされているみたいです。
 「え、ええっと……」
さすがに女医さんも困惑されたままですが、作り笑顔でブレスレットを装着してくれました。
「これからは、毎日アルドナイに話しかけてね。初めは返事が少ないと思うけど、徐々にあなたの適正を把握しつつ、相談相手になってくれるから」
そこまで言われて、私は診察室を後にしました。部屋を出るときにぺこりとお辞儀して、そのまま顔を上げずにソソクサと退室しました。背中に感じるお医者さんたちの視線を振り切るかのように……
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

桜苗沙希(さなえさき)(16)

ちょっと天然な、お菓子系の美少女。

パステルカラーがよく似合う。

幼い時に両親が離婚し、心に深い傷を隠し持っている。

それゆえか感受性が強く、不思議な青年、蓮に惹かれてしまう。

蓮野久季(はすのひさき)(21?) 通称:蓮(レン)

その経歴や言動から、とにかく謎の多い青年。

「黒い剣士、銀色の悪魔、ワケあり伊達眼鏡、生きる女難の相」など、いろいろ呼ばれている。

物語の核である、「グラマトン、プラヴァシー、継承者、閉じた輪廻」に密接に関わる、左利きの男。

セト

蓮が利用するアルドナイ(AI)

蓮を「兄サン」と呼び、主に情報収集と相談役として活躍する。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み